明治期から現在までの漁業史を伝える宮城県気仙沼市の古文書が、東日本大震災の津波による汚損と「一時避難」を経て、3日に1年5カ月ぶりの「帰還」を果たす。神奈川大(横浜市神奈川区)の研究所が昨年から修復を主導し、新たな収蔵庫も設計中。4日には住民向けの現地報告会を開き、地域の記憶を生かした復興の形を語り合う。 古文書は、気仙沼湾内にある離島・大島の漁業協同組合が1903(明治36)年の創立当初から欠かさず蓄積してきた。漁協の成立や変遷をたどる、ひとまとまりの資料として一級品といわれる。しかし、震災で2階建ての漁協事務所もろとも津波の直撃を受け、泥や塩分まみれになった。 救出に当たったのが同大の日本常民文化研究所(常民研、佐野賢治所長)だ。前身の財団法人時代の50年代から、水産資料の調査を通じて同漁協と交流があった。 昨年5月、教職員や大学院生ら49人が現地入りし、古文書一枚一枚の汚れを除