水没した川崎市市民ミュージアムの収蔵品救出状況が明らかに。今年度中に地階からの浸水作品搬出を目指す2019年10月、関東地方を縦断した台風19号により、9つの収蔵庫への浸水と収蔵品の被害が確認された川崎市市民ミュージアム。川崎市は収蔵品レスキューの状況を公開し、今年度中を目処に被害を受けた収蔵品を地階から搬出する方針を示した。 2019年10月12日から13日に関東地方を縦断した台風19号により、9つの収蔵庫への浸水と収蔵品の被害が確認された川崎市市民ミュージアム。10月22日より、独立行政法人国立文化財機構が有する文化遺産防災ネットワーク推進会議の協力のもと、被災した所蔵品の応急措置や、施設での一時保管を進めてきた。 このたび、川崎市は収蔵品レスキューの状況を公開。カビの発生や搬出経路の確保などの理由から、これまで搬出等を行ってこなかった収蔵庫1(民俗資料)と収蔵庫2(考古資料)からの搬
<日曜カルチャー> 地震で被災した文化財を救出する活動「文化財レスキュー」についてのシンポジウム「熊本地震と文化財レスキュー」が昨年12月、九州国立博物館(福岡県太宰府市)で開かれた。文化財の情報収集や保管場所の確保など、浮かび上がった課題について意見が交わされた。【大森顕浩】 地震発生直後の救出活動は、県内の大学教員や博物館学芸員らで設立した「熊本被災史料レスキューネットワーク」(熊本史料ネット、代表は稲葉継陽(つぐはる)・熊本大永青文庫研究センター教授)のほか、熊本県立美術館、熊本市立熊本博物館、熊本県博物館ネットワークセンター(熊本県内の博物館・美術館を支援する施設)などが自主的に取り組んだ。県立美術館の場合、本震直後の4月18日に市内の寺院から国の重要文化財の仏像を搬出、4月27日には熊本大付属小学校が所蔵していた画家の藤田嗣治の作品を搬出した。 文化庁が呼びかけた「文化財レスキュ
机上に並べられたのは、紙芝居や書籍などの資料、合わせて31点。紙はさらさらとした感触で、無臭だ。1年前、浸水被害を受けてどろどろでよれよれだったころの面影はない。 「ここまできれいになるのかと驚いた。他にはない資料を守れたということは大きい」 常総市立図書館(同市水海道天満町)奉仕係の門井中(ひさし)主査兼係長は感嘆の声を上げた。資料は国立国会図書館(東京都千代田区)で修復され、6月、ふるさとに帰ってきた。 市内唯一の図書館である常総市立図書館は、昨年9月の東日本豪雨で床上約30センチまで浸水。書棚の下段にあった本を中心に泥水に漬かり、本やCDなど計約3万点を処分した。貴重な郷土資料なども例外ではなかった。 「ヘドロがこびりついて変色し、紙はそり曲がって波打っていた。カビが生えていたものもあった」と門井さんは振り返る。すぐに151点を国立国会図書館に搬送。しかし修復には膨大な手間がかかるた
◆「対策に役立つはず」 関東・東北豪雨の被害を受けた常総市で、泥水につかった歴史資料や民間古文書の修復作業が進んでいる。6月には国会図書館で修復された31点が市立図書館に戻り、茨城大や東北大の学生らも民間古文書の洗浄作業に取り組む。水害の記録や地名の由来など、貴重な歴史を後世に引き継ごうと復元されている。 「堤切れ所十一ヶ所、長さ延べ五十一間(約92メートル)余り切れ込み、田畑とも一円水かむり皆損つかまつり、その上居屋敷まで水押し入り……」。茨城大の学生らが復元した1757年(宝暦7年)の民間古文書には、江戸中期の水害の状況が詳細に記されていた。 「常総は昔から水害に悩まされた地域。住民が水害とどう向き合ったのかという記録は、今後の対策にも役立つはずだ」。民間古文書の保存に取り組む「茨城史料ネット」の事務局長を務める添田仁・茨城大准教授は分析した。 同団体は水害の約1週間後、ボランティアと
石川啄木歌碑拓本(いしかわたくぼくかひたくほん) 金田一京助筆 昭和時代・20世紀 岩手・陸前高田市立博物館蔵 (右)NPO法人文化財保存支援機構とともに奥州市埋蔵文化財センターで行った拓本の安定化処理作業の様子 岩手県出身の歌人、石川啄木の歌碑の拓本です。石碑は、大津波により流失してしまったため、拓本は碑文を伝える貴重な資料です。表具も含めた全体が塩と汚泥にまみれ、糊浮きが進んでいました。本紙を安定化処理の後、現在は全ての拓本の本格修理が進められています。 絹地染小紋型長着(高田歌舞伎)(きぬじそめこもんがたながぎ(たかたかぶき)) 昭和時代・20世紀 岩手・陸前高田市立博物館蔵 (右)修理途中の中綿 衣装のほか、かんざしやかつらなど、地芝居「高田歌舞伎」関連資料を展示します。衣装は海水損によって全体に染料が滲み、中綿には内部で偏りが生じ、元の形が分らないほどに皺だらけになっていました。
東日本大震災の被害は住宅などばかりではなく図書館や博物館にも及び、貴重な図書や資料が大きな被害を受けた。津波で流出したもののほか、残ったものでもとくに海水による被害は淡水によるものとは比べものにならないほどの致命的なダメージを与えた。 岩手県沿岸部の市町村でも数多くの施設が大きな被害を受けており、岩手県では文化財レスキュー事業の支援も得ながら被災文化財の救出活動が行われてきていて、これまでに50万点を超す資料が救出されている。 これらの施設のうち、壊滅的な被害となった陸前高田市立博物館については、岩手県立博物館(盛岡市)が、文化庁が準備した被災ミュージアム再興事業を活用し仮設の施設を設置して保存修復活動を行っている。 このために、2階建てのプレハブが専用施設として設置されており、ここで古文書などの文化財の安定化処理と修復作業が実施されている。 この施設は一般に公開されていて、窓越しにではあ
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阪神大震災で始まった、被災した古文書や書類を救う「歴史資料ネットワーク(史料ネット)」の取り組みが、多くの地震や水害、東日本大震災での活動を経て、全国に広がっている。設立当初からネットワークに参加し、現在は代表委員を務める神戸大大学院の奥村弘教授(日本近代史)に、この20年間を振り返ってもらった。 史料ネットが「歴史資料保全情報ネットワーク」として発足したのは、阪神大震災の発生から18日後の1995年2月4日。関西を中心に活動する歴史系4学会のメンバーらが集まり、被災家屋から文書資料などを取り出して保全する「レスキュー活動」について話し合った。 「地震の発生直後、地元の研究者は緊急の対応や学生の安否確認などに追われ、史料どころではなかった。しかし10日ほどたって、東京から来たボランティアが文書の保全に当たっているというニュースを知り、『我々にもできるのでは』と思い立ちました」 マスコミの情
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