南米の最貧国ボリビアで、日本も含む主要国が、次世代環境技術のカギを握る天然資源・リチウムの争奪戦を繰り広げている。 電気自動車などに使われる充電池の原料がアンデス山脈の秘境「ウユニ塩湖」に未開のまま眠っているのだ。その量は世界の埋蔵量の半分とも言われている。 ◇ 地平線の向こうまで、真っ白な塩の大地が広がる。草木は生えず、動物もいない。中心都市ラパスから悪路を車で約12時間。富士山頂とほぼ同じ標高に、東京都の6倍近い約1万2000平方キロの静寂の世界が広がる。 10月29日、湖畔。リチウム開発を急ぐ政府が精製実験成功の祝賀会を開いた。労働者ら約2000人が見守る中、モラレス大統領は容器に入ったリチウムを片手に「これで資金を集め、工業化を進めよう」と拳を振り上げ、「日本の大使も駆けつけてくれた」と、唯一の外国人賓客である田中和夫大使を紹介した。 大使は大統領の直接の誘いを受けてともに会場入り