朝日新聞の詩歌コラム「折々のうた」で知られ、文学をはじめ音楽、演劇、美術など多彩な分野で評論活動を行った詩人で、文化勲章受章者の大岡信(おおおか・まこと)さんが5日午前10時27分、誤嚥性(ごえんせい)肺炎のため静岡県三島市の病院で死去した。86歳だった。家族で密葬をし、後日お別れの会を開く予定。喪主は妻で劇作家の深瀬サキ(本名・大岡かね子)さん。 31年、歌人大岡博の長男として現在の静岡県三島市に生まれ、旧制沼津中在学中から詩を書き始めた。旧制一高を経て、東大国文学科在学中の51年、日野啓三らと同人誌「現代文学」を創刊。53年、読売新聞社に入社し、外報部勤務のかたわら詩作を続け、54年に谷川俊太郎さんや茨木のり子らの詩誌「櫂(かい)」に加わった。55年に「現代詩試論」を刊行し、批評家として頭角を現す一方、56年の第1詩集「記憶と現在」でみずみずしい作風が注目された。 63年に退社後、本格
