【尾崎文康】低所得世帯の中学生にも学ぶ機会を平等にしたいと、月1万円の塾代を渡す大阪市の教育バウチャー(クーポン券)制度が、1日から市内全域に広がる。日本初の試みで、橋下徹市長は「大阪発の全国モデルに」と意気込む。だが、先行した西成区の利用率は4割に届かず、お金だけでは生徒がついてこない現実も浮かんできた。 大阪市のある中学生の自宅に今月、色鮮やかなカードが届いた。表面には生徒の顔写真が印刷され、「塾代助成」の文字。市に登録した学習塾やスポーツ教室などで見せれば、毎月1万円分を市が払ってくれる。 教育バウチャー制度は、橋下氏の発案で2年ほど前から準備。生活保護や就学援助を受ける家庭の中学生なら誰でも申し込める。 市は昨年9月、西成区の中学生約千人を対象に試行。1日からは全区に広げる。対象は約2万2千人。機器やカードを開発した今年度は約10億円の予算を組み、来年度は約20億円の予算を見込む。