人気漫画やアニメのイラスト集やカレンダーの絵を無断で切り抜き、額装して高額で出品する転売がフリーマーケットアプリで横行している。こうした事態にアニメ制作会社「スタジオジブリ」は9日、民事と刑事両面で厳正な法的措置を取るとの声明を発表した。各社は著作権侵害に神経をとがらせるが、転売ヤー対策には有効打はなく、市場から排除するには課題が山積している。 ジブリは公式サイトに発表した声明で、一部の店舗や通販サイトで、イラスト集やカレンダーを切り取った絵が額装されて高額な値段で販売されていることを挙げ、「著作権その他知的財産権を侵害し得る」と訴えた。 「著作権を侵害」ジブリは自社の作品やキャラクターについて、「多くの関係者が時間と労力を費やして創作して世に送り出され、世界中の多くの人々に長年にわたって愛され続けている」と強調。切り抜きの高額転売を「不当に利益を上げる行為として看過することはできない」と
以下の文章は、コリイ・ドクトロウの「The US Copyright Office frees the McFlurry」という記事を翻訳したものである。 Pluralistic 米国史上最悪のインターネット法であるDMCA(デジタルミレニアム著作権法)のなかでも、とりわけイカれた条項のとりわけイカれた部分に、私は四半世紀にわたって執着してきた。その部分とは、1998年に制定されたDMCA第1201条で、ユーザのコンピュータを遠隔の企業ではなく、ユーザ自身のために機能させようとする手助けを重罪としている。 DMCA第1201条のもとでは、「著作物へのアクセス制御を回避するツールを提供する」ことが、初犯であっても5年の懲役と50万ドルの罰金という重罪となる。その対象には映画などの伝統的な著作物へのアクセス制御が含まれる。例えば、光感受性てんかんの患者がNetflixプレーヤーに発作の原因とな
図書館はこれまで、知識にアクセスする機会をすべての人に平等に与えるという重要な使命を果たしてきた。だが、図書館によるデジタル化を認めない判決を米国の控訴裁判所が下したことで、危機的な状況にある。 by MIT Technology Review Editors2024.09.18 7 この記事の3つのポイント 図書館のデジタル貸出を制限する判決が米国で下された 判決は「制御されたデジタル貸出(CDL)」をフェアユースとして認めない内容 図書館を電子書籍のエコシステムに閉じ込め、危機的状況に陥れる可能性 summarized by Claude 3 私は1980年代から90年代にかけて育った。私の世代やその前の世代にとって、公共図書館はあらゆる町で平等を実現する力となっており、アメリカンドリームを目指して前進するすべての人を助ける存在だった。私が育ったヴァージニア州シャンティリーでは、コンピ
以下の文章は、コリイ・ドクトロウの「A profoundly stupid case about video game cheating could transform adblocking into a copyright infringement」という記事を翻訳したものである。 Pluralistic 資本主義(利潤から富が生まれる)から封建主義(地代レントから富が生まれる)への社会の転換が、奇妙な結果をもたらしている。それは、実際の財産(物理的に所有するモノ)に対する権利が、企業の比喩的な「知的財産」の主張によって覆されるケースが増えているのだ。 なかなか理解しにくいかもしれない。まずは利潤と地代について簡単に説明しよう。資本家は設備投資をし労働者に賃金を支払って製品やサービスを生産するその過程で得られる余剰が利潤 だ。つまり、生産的なことを行うために労働者を雇って得られるお金のこ
8月12日(祝)、東京ビッグサイトで開催された山田太郎・赤松健、両参議院議員の「表現の自由を守る会フォーラム」を傍聴した。 山田議員は8月上旬、新サイバー犯罪条約やクレカ規制問題などで関係者と交渉するため訪米。その模様は「山田太郎のさんちゃんねる」で詳しく紹介されているので、そちらに譲る。 本稿では新サイバー犯罪条約関連で訪問したサンフランシスコの電子フロンティア財団(EFF) を取り上げる。 ダンシング・ベイビー事件 EFFはデジタル世界における市民の自由を守る活動をしている非営利団体で、筆者も在米中2度訪れたが、国会議員が訪問した話はあまりきかない。 山田議員もEFFの年間予算が36億円と紹介していたが、確かに財務報告を見ると2022年度に2312万ドルの寄付を集めている。これだけの予算をバックにしたネット上の表現の自由を守るための活動の実例として、ダンシング・ベイビー事件を紹介する
日本政府は海外の生成AI関連企業の誘致に力を入れており、企業側も日本市場を好意的に見ている。だが、著作権侵害に対する政府の無防備な対応によって、国内のクリエイターが大きな被害を受けていると英紙「フィナンシャル・タイムズ」は警鐘を鳴らす。 2年前、生成AI(人工知能)で作られた画像やアニメ動画がSNS上に出回りはじめたとき、イラストレーターの木目百二(もくめももじ)は、「このままだと、日本の創作文化が崩壊してしまう」と絶望した。 「イラストレーターの仕事もなくなってしまうと思いました」と語る木目は、東京在住の21歳だ。イラストレーター、漫画家、ミュージシャンとして活動している。 「私たちに未来はないと感じています」と彼は言う。 同じ頃、メタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグやOpenAIのサム・アルトマンといったグローバルテック業界の経営者らが続々と東京を訪れ、岸田文雄首相と面会し
イラスト生成AIサービス「AIいらすとや」などを手掛けるAI Picassoは7月31日、画像生成AIの開発用として、約1000万枚の画像からなるキャプション付きデータセットなど2点を無償公開した。著作権に配慮し、いずれのデータセットも「CC-0」(所有者が著作権を放棄し、実質パブリックドメイン化したもの)か、CC-0相当のライセンスを持つ画像で構成したという。 公開したのは、キャプション付きの画像約300万枚からなるデータセット「soa-full-florence2」(CC-0)と、キャプション付きの画像約1000万枚からなるデータセット「megalith-10m-florence2」(CC-0相当)の2つ。 soa-full-florence2は、米国の学術機関「スミソニアン協会」の公開情報を元に、AI開発者のmadebyollinさんが作成した、画像のURLへのリンク集「soa-fu
日本は人工知能(AI)の中心地なのだろうか。 2024年4月、米IT企業大手「オラクル」が、クラウド・コンピューティングとAIに関するサービスの拡充のため、80億ドル(約1兆2500億円)を日本に投資すると発表した。その直前には、生成AIサービス「ChatGPT」の生みの親である「オープンAI」が、アジア最初のオフィスを東京に開設すると決め、さらにその2ヵ月前には、大規模言語モデル「Llama」を作った「メタ」社のCEO、マーク・ザッカーバーグの来日が大々的に報道されていた。 これと並行して、他にも大手テクノロジー企業が日本のITインフラに天文学的な額の投資を発表し、生成AIを用いたサービスを展開しようとしている。
なんらかの作品を創った人は、その「著作権」を有する。自分の考えや想いを作品として表現したのだから、強い思い入れもあろう。だが、「思い入れ」と「思い込み」はまるで違う。 「著作権侵害だ!」と筋違いないちゃもんをつけ、裁判沙汰にするような思い込みが過ぎるクリエーターも残念ながら多数存在する。そうした”エセ著作権”を振りかざし、トラブルに発展した事件の数々を取り上げた一冊が「エセ著作権者事件簿」(友利昴著)だ。 本連載では、ニュース等で話題になった事件も含め、「著作権」にまつわる、とんでもないクレームや言いがかりを紹介。逆説的に、著作権の正しい理解につなげてもらう。 第1回では、ベストセラー「完全自殺マニュアル」で発生した著作権トラブルを紹介する。敬意を表した行動が、相手の無知と無理解で、とんでもない”アンサー”となり、裁判沙汰にまで発展。当然といえる結果に帰結しているが、なんとも後味は悪い…。
以下の文章は、コリイ・ドクトロウの「AI “art” and uncanniness」という記事を翻訳したものである。 Pluralistic AIアート(または「芸術」)に関して、クリエイティブ・ワーカーの労働権、表現の自由、著作権法の重要な例外と制限、そして美学を尊重する微妙なポジションを見つけるのは難しい。 総合的には、私はAIアートには反対だが、その立場には重要な注意点がある。まず第一に、作品をスクレイピングしてモデルを訓練することが著作権侵害だと言うのは、法律上、明らかな間違いである。これは道徳的な立場からではなく(これについては後述)、むしろ技術的な立場からである。 モデルの訓練手順を分解すると、これを著作権侵害と呼ぶのが技術的に間違いである理由はすぐに明らかになる。まず、一時的に作品のコピーを作成する行為は、たとえ数十億の作品であろうと、明らかにフェアユースだ。検索エンジンや
過小評価されている認知的美徳がある。それは「対象の永続性(object permanence)」、つまり以前に物事をどのように認識したかを継続的に記憶していることだ。ライリー・クインがしばしば思い出させてくれるように、左派は「対象の永続性」のイデオロギーだ。左派であるということは、CIAが一時的にトランプを苦しめている時でさえも、CIAを嫌い、信用しないことであり、あるいは、かつて労働者が自分の賃金で家族を養えていたことを覚えていることだ。 https://pluralistic.net/2023/10/27/six-sells/#youre-holding-it-wrong 問題は、対象の永続性が難しいということだ。光陰矢の如し。事実を覚えておくのは難しく、それらの事実がどの順番で起こったかを覚えておくのはさらに難しい。そして、その時にどう感じたかを覚えておくのはもっと難しい。 そこでブ
Nobu-Kobayashi @nyaa_toraneko A Tech Enthusiast @Unity/AI/Anime, Ex-Senior Evangelist at Unity Technologies Japan, Master of Business, majored in Econometrics. note.com/nyaa_toraneko Nobu-Kobayashi @nyaa_toraneko これほど明快で、かつ、二次創作に対する深い理解を示している原著作者のコメントは読んだことがないです。 さすが、すがやみつる先生は巨匠だと思いました。 pic.twitter.com/hIchz9pRdv Nobu-Kobayashi @nyaa_toraneko このすがや先生の言葉をどのように解釈するかは、本当に人それぞれだと思うけど、オフィシャルの二次創作オリジナルゲ
すがやみつる @msugaya 私も試してみました。プロンプトは、以下のとおりです。 ***** 『ゲームセンターあらし』というタイトルのマンガがありますが、このマンガに関係なく、タイトルだけのイメージから、美少女がゲームセンターで激しくゲームをプレイする絵を、マンガタッチで描いてください。 ***** こちらの方が年齢が高そうですね(^_^)。 ChatGPT経由でDALL-E3に描いてもらいました。 ジロー @i9r82k こんこんばんばん 本日夜便は、ゲームセンターあらしより「ゲームセンターあらし」です ゲーセンというか、カラオケじゃないか? 黒髪ショートカットって意外に珍しい気がする なんか悪友というか、腹を割って話せる関係っぽい感じがします #画像生成AI #美少女 pic.twitter.com/8SF9NJb1QR すがやみつる @msugaya ここに掲載した画像は(他の方
Electronic Frontier Foundation 1975年。アース・ウィンド&ファイアがパワープレイされ、映画『ジョーズ』が映画館のスクリーンを覆い尽くし、『オール・イン・ザ・ファミリー』が必見の番組とされ、ビル・ゲイツとポール・アレンがAltair 8800という初のパーソナルコンピュータを売り出していた。 だが、著作権弁護士にとって、そして我々市民にとって、もっと重要な変化が訪れていた。ソニーが初のビデオテープレコーダー(VTR)を販売したのである。そのお陰で、仕事で昼ドラが見れなかったとしても、録画しておけば帰宅後にゆっくりと見れるようになった。好きな番組と気になる試合中継が重なっても、なんの問題もなくなった。ソニーがユニバーサル・スタジオに送った広告にもあるように「これで刑事コロンボを見るために刑事コジャックを諦める必要はなくなった(その逆も)」のである。 これが生成
2024年から、初代ミッキーマウスの著作権が切れ、誰でも自由に利用できるようになった。なぜディズニーは延長を申請しなかったのか。コロンビア大学のマイケル・ヘラー教授とカリフォルニア大学のジェームズ・ザルツマン教授は「高級ブランドがいかがわしい偽物を一掃しないのと同じだ。ディズニーは法的保護がさほど重要ではないことに気付いたのだろう」という――。 ※本稿は、マイケル・ヘラー、ジェームズ・ザルツマン『Mine! 私たちを支配する「所有」のルール』(早川書房)の一部を再編集したものです。 誰のものでもないウィキペディア 所有者のいないオンライン・リソースでおそらく最も知られているのは、Wikipedia(ウィキペディア)だろう。ウィキペディアはボランティアの書き手と寄付によって成り立っている。ウィキペディアは百科事典という分野を駆逐してしまうほどの成功を収めた。いまどきの学生は百科事典がどんなも
2月29日に、文化庁で「文化審議会著作権分科会」の第7回が開催されました。著作権の専門家によってその制度について議論をする場ですが、今年度は2023年7月より「AIと著作権」について議論されてきました。3月に文化庁から政府に報告する「AIと著作権に関する考え方について(素案)」の最終案に近いものが発表され、1月下旬から2月上旬にかけて募った「パブリックコメント(パブコメ)」の結果報告もされるということもあり、注目されました。登場したのは「AIと著作権に関する考え方について(素案)令和6年2月29日時点版」、パブコメの結果を受けて、これまでの内容に微修正が施されていました。しかし、そこからわかったのは、文化庁の一貫したスタンスでした。 文化庁 文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会(第7回) パブコメへの反応は「素案の内容周知」 発表物から議論を集めたのが発表資料に「パブコメの結果」が追加
はじめに 自分は去年の今頃(2022年12月)に、「AIアートとMMDについて。金は著作権より重い。」という記事を書いた。 https://archive.is/l9iKV その記事を書いたら、「MMDは日本の3DCGを破壊してしまった 」という記事も合わせてバズった。 「MMDは日本の3DCGを破壊してしまった (2022年度版)2022/08/16加筆」 https://archive.is/DenAN 2018年に日本の3DCGがMMDでガラパゴス化したと指摘され、およそ3年が経過した。 現在の日本の3DCGはどうなってしまったのか? 結論から言えば中国(ビリビリ動画)に日本の3DCG(ニコニコ動画)は完全に追い抜かれてしまった。 日本の白物家電が中国・韓国製に駆逐されたのと同じように、世界から完全に取り残されてしまったのだ。 MMDは日本の3DCGを破壊してしまった (2022年度
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