【書評】『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』/清武英利著/講談社/本体1600円+税 【著者】清武英利(きよたけ・ひでとし)/1950年宮崎県生まれ。立命館大学卒業後、読売新聞社記者、読売巨人軍球団代表などを経て、ノンフィクション作家に。著書に『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社+α文庫。講談社ノンフィクション賞)など。 【評者】鈴木洋史(ノンフィクションライター) 日本の税法には通称「5年ルール」なるものがある。被相続人と相続人がともに5年を超えて日本の非居住者であるときは、日本国内の財産にしか課税されない、というものだ。 これを利用し、財産もろとも海外に移住する富裕層が多いのだが、その移住先に選ばれているのが、海外の富裕層誘致のために相続税や贈与税を廃止しているシンガポールだ。日本からの富裕層には一代で財を成した不動産業者、パチンコ業者、IT長者などが多いという。 本書