2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにし、世界に激震が走った。そしてその傍ら、エネルギー市場も世界的なショックの渦中にある。 戦時においての戦略物資、石油・天然ガスの重要性に私たちは改めて直面している。第二次世界大戦から80年がたつが、エネルギーを巡る地政学のダイナミズムという本質は、21世紀も変わっていない。 そんな絶妙なタイミングで「ピューリッツァ―受賞作家」かつ「最も影響力あるエネルギー問題の専門家」と称されるダニエル・ヤーギン氏の新著が翻訳された。ベストセラー『石油の世紀』『探求-エネルギーの世紀』に続く本書は、足元の世界情勢を理解する上では最良の一冊だ。本書を読まずして、地政学とエネルギーは語れないといっても過言ではなかろう。 地政学とエネルギー分野の劇的な変化によって世界地図は塗り替えられていると著者は語り、本書でこのうねりをひとつづつ丁寧にひろいあげていく。