奈良時代の高僧、鑑真(688~763)の目は唐からの来日時に見えていた--。奈良国立博物館の西山厚学芸部長が鑑真の命日にあたる6日、奈良市の唐招提寺で開かれる特別講演会で、新たな史料を示して発表する。西山さんはこれまでもこの説を唱えてきたが、新たな根拠で「鑑真は日本の風景を見ることがなかった」との定説を覆す内容だけに、論議を呼びそう。 奈良時代末期に書かれた鑑真の伝記「唐大和上東征伝」には、日本に渡る前の段階で「眼ついに明を失せり」とあり、鑑真は失明してから来日したというのが定説。また、日本最古の肖像彫刻とされる鑑真和上坐像(国宝)からも失明していたとされている。しかし、西山さんは「唐大和上東征伝はフィクションと見られる部分が多く、すべてを史実と考えるべきではない」と主張。鑑真和上坐像は最晩年の姿を表したもので、来日当初から失明していた証明にはならないという。 新たな史料は、和上の孫弟