盲目というハンディを負いながら、文献集「群(ぐん)書(しょ)類(るい)従(じゅう)」の編纂(へんさん)を手掛けた県出身の国学者、塙保己一(1746年~1821年)。その業績はすべて「世のため、後のため」という言葉を残したことで知られる。 【写真】銅像も佇む、塙保己一記念館の外観 保己一の旧宅(国指定史跡)が残る埼玉県本庄市の記念館を訪ねた。同館にその一部が展示されている群書類従とは、保己一が一生涯をかけ、「散らばっている貴重な書を集め、後の世の国学をする人のよき助けとなるように」と収集した666巻になる大作だ。 保己一は幕府の援助で設立された「和学講談所」で編纂を手掛けた。全国の神社、公家、大名家に所蔵される文献を調査し、系統だった分類・整理を敢行。それまでの書籍といえば書き写しという時代に、版木に彫って印刷し頒布する道を開くという偉業を成し遂げた。 その中には「徒然草」「竹取翁物語」「土
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