仏ボルドー近郊サン=テミリオンにあるグラン・クリュのワイナリーで、なぜか醤油が醸造されているという。仏高級紙「ル・モンド」が、その意外な組み合わせの理由を取材──。 発酵させ、櫂(かい)入れをし、圧搾し、樽で熟成させる。醤油の醸造家とワインの醸造家の仕事に、共通点は少なくない。 とはいえ、そこからフランスのサン=テミリオンのワイナリーと日本醤油の発祥の地とされる湯浅という小さな町を結びつけてしまう発想の飛躍は、なかなか出てくるものではない。 フランス人のアドリアン・ダヴィッド・ボーリューとマディナ・ケールの夫妻が成し遂げたのは、まさにそんな発想の飛躍だといえる。夫妻は、サン=テミリオンにある名高いワイナリー「シャトー・クーテ」の共同オーナーだ。いまその酒蔵でメイド・イン・フランスの醤油が作られ、売り出されている。 もっとも、フランスで初めて醤油の醸造に取り組んだのがこの夫妻というわけではな