北九州市の病院で2007年、認知症の入院患者2人の足のつめを切除してけがをさせたとして傷害罪に問われた看護師、上田里美被告(44)の控訴審判決が16日、福岡高裁であった。陶山博生裁判長は、懲役6カ月執行猶予3年(求刑懲役10カ月)とした一審・福岡地裁小倉支部判決を破棄し、無罪を言い渡した。 事件をめぐっては、患者への「ケア」なのか、傷害罪にあたるのかが争われ、福岡高裁の判断が注目されていた。日本看護協会は被告の行為について「看護ケアである」との見解を出していた。 09年3月の一審判決によると、上田被告は北九州八幡東病院の看護課長だった07年6月、入院中の当時89歳と70歳の女性2人の足のつめ計3枚をつめ切り用ニッパーで深く切るなどして、出血を伴うけがを負わせたとされる。一審は「患者への配慮を欠き、正当な看護行為ではない」と判断していた。 これに対し、被告が控訴。09年8月からの控訴審