開館から20周年を迎えたにもかかわらず、今まで一度も生き物が入ったことがない水槽が、鹿児島県の水族館にある。いおワールドかごしま水族館(鹿児島市)にある「沈黙の海」だ。 「沈黙の海」 いおワールドかごしま水族館 「沈黙の海」は1997年5月のオープン当初から設置されており、順路を9割進んだあたりで突然現れる。縦130×横110×奥行き12センチと小さい水槽には、海の生き物どころか、水以外何も入っていない。背景は青一色で、定期的にコポコポと泡が上昇していくだけ。隣には、「沈黙の海」と題した次のメッセージが書かれている。 青い海 なにもいない もう耳をふさぎたいほど 生きものたちの歌が聞こえていた海 それが いつのまにか、なにも聞こえない 青い海 人間という生きものが 自分たちだけのことしか考えない そんな毎日が続いているうち 生きものたちの歌がひとつ消え ふたつ消えて それが いつのまにか
