Marginal Revolutionで、ハイエクをめぐる議論が盛り上がっている。この記事(のリンク先のエッセイ)もおもしろいが、コメントの水準も高い。これを読むと、アメリカのブログがアカデミックな議論の場になっていることがわかる。 ここでTyler Cowenが提起している「ハイエクには意味があるか?」という問題は、自由主義の将来を考える上で重要である。ハイエクは、社会主義を否定して市場の自生的秩序を賞賛したが、彼の主張には致命的な矛盾が含まれている。社会主義も、それ自体が政治的な進化の結果、成立したという意味では自生的な秩序だからである。 資本主義も、ハイエクの想定するような自生的な進化の結果うまれたものではない(そうであれば地球上のすべての文明圏が資本主義になっていただろう)。資本主義は、財産権や絶対主義などの西欧に固有の法・政治的な制度によって生み出された特殊な経済システムであ