「おやっ」。防衛省で回覧された第三次補正予算案に航空自衛隊の幹部は驚いた。海上自衛隊の購入品に「C130輸送機」とある。米国から中古を買い、海自の国産旅客機YS11の後継機にするというのだ。 老朽化したYS11を国内で使い続けているのは、海自(三機)と空自(十三機)だけ。いずれ後継機が必要になるが、当初予算に計上すれば限られた枠を圧迫する。「早い者勝ち」の補正予算で買うには緊急性が必要だ。海自は「東日本大震災で不足が判明した輸送力を補う」を理由にした。 補正予算は「打ち出の小づち」だ。二〇〇四年、防衛庁は政府専用ヘリコプターの購入費を補正計上した。「新潟県中越地震の被災地訪問で天皇陛下がお乗りになった。ドアが小さく、陛下が頭を下げて乗り降りされた」と幹部。「不敬な機体の刷新」に三十五億円の購入費が付いた。