戦後70年となる今年、日経ビジネスオンラインでは特別企画として、戦後のリーダーたちが未来に託す「遺言」を連載していきます。この連載は、日経ビジネス本誌の特集「遺言 日本の未来へ」(2014年12月29日号)の連動企画(毎週水曜日掲載)です。 第30回は、元台湾総統の李登輝氏。学生時代に『武士道』と『衣裳哲学』を読み、大きく影響を受けたと明かす。この2冊を通して培った哲学が、台湾総統時代に生きる。「実践しなければいくら考えても意味がない」と語り、リーダーのあるべき姿を訴える。 皆さんご存じの通り、台湾は戦前まで日本の統治下にありました。1923年生まれの私は、22歳まで日本人でした。日本の教育、中でも読書を通じた思想形成が、私に大きな影響を与えたのは言うまでもありません。 日本人は台湾に博物学、数学、歴史、地理、社会、物理、体育、音楽などを持ち込み、公学校で教えた。それを通して台湾人は、世界