電力広域的運営推進機関(広域機関)は2017年6月に、ある報告書をまとめた。全国の電力網の司令塔ともいうべき「広域機関システム」の開発トラブルを総括したものだ。 広域機関は外部の専門家による第三者評価委員会を設置して、報告書を作成。プロジェクトの実態をつまびらかにした。そこには、システム開発を発注した広域機関と、受注した日立製作所の混乱の様子が記されていた。電力小売り全面自由化のスタート時に混乱の火種となった同システムの開発は、希にみる“凄惨”なプロジェクトだった。 システム開発にトラブルは付きものだ。プロジェクトの実態と、広域機関の対策を他山の石としたい。 関係者35人、計70時間のインタビューで実態を明らかに 広域機関システムは、電力の安定供給を担う中核システムである。全国の小売電気事業者と発電事業者が作成した計画を取りまとめ、一般送配電事業者が需要家に電気を送り届ける司令塔、すなわち
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