ここのところ、野田首相を筆頭に「増税の前に身を切る姿勢を」という主張が盛んであり、実際に議員定数や公務員の人件費などの削減が実行に移されようとしている。ここでも繰り返し述べてきたが、これは全面的に間違ったものである。議員定数や公務員の人員は、民意を政治的に代表する適切的な規模や、必要とされる行政事務の仕事量に応じて決められるべきであって、社会保障財源のための増税とはまったく関係のない問題である。 むしろ、国民の生産と消費における社会保障の比重が高まることは、一般には民意の複雑化・多様化をもたらし、行政の国民の生活保障に対する役割が増えることであるから、増員の主張が起こるほうが自然である。メディアはよく「議論が尽くされていない」「説明が足りない」などと政権与党を批判するが、議員定数削減の是非については、議論や説明が不足しているという以前に全くなされていない状態である。 そもそも、「増税の前に