(2011年12月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 未来はこれまでとは違ったものになる。現在も従来とは異なっている――。これが米ジョージ・メイソン大学のタイラー・コーエン教授の著書『The Great Stagnation(邦題:大停滞)』のテーマだ。それほど厚くはなく、憂鬱な内容ながらも影響力のある本で、当初はインターネット上で出版されていた*1。 「米国はたやすく手に入る現代史の果実をいかに食べ尽くし、いかに身体を壊したか、そして(最終的に)いかに回復するのか」という副題に、上述のテーマが集約されている。簡潔で分かりやすく、挑発的な本書は売れる書籍のモデルの1つだ。 しかし、そこで展開されている議論は正しいのだろうか? もし正しいとしたら、本書からは何を読み取ることができるのだろうか? もぎ取りやすい果実はとうに食べ尽くしてしまった 「米国は混乱している。そして、米国経済は我々