魅惑のオーロラ オーロラは北極や南極の高緯度地域に現れる世の中で最も壮麗な自然現象の一つである.古くはバビロニアの象形文字でオーロラと思われる記述が石板に見られ,また日本でも「日本書紀」などに「紅気」や「赤気」という表現で記されている.これら古い記録に残るオーロラは比較的低緯度で見られた暗赤色のオーロラであり,全世界的な規模でオーロラ嵐が起こったときの記録である.オーロラに近代科学のメスが入れられたのは,ほんの三十年ほど前である. オーロラは太陽活動と密接な相関がある.太陽からは太陽風と呼ばれる高エネルギーの粒子(電子やイオン)が太陽磁場と共に宇宙空間へ常に放出されている.地球は地磁気で覆われているため,太陽風が地球の電離層まで直接入り込むことはできない.地球の夜側へ一旦回り込み,そこから南北両極の電離層に入ってくる.このような高エネルギー粒子はオーロラ粒子と呼ばれ,地球大気の主成分である