空中を旋回して 彼の想いが炸裂した 其れは弧を描く形だったが 水面には届かずに大地に降り注ぎ 多くの人は強く打ち、疎んだ それからは彼が落ちるたびに 人々は時に怒り 殆どは気付かずに忘れ 水面は揺れる事無く 彼はそれでも空にいた 炸裂した想いは 痛みや感傷や一匙の感謝だったが 落ちていくうちに其れは濁り ただ意味を成さない言葉が 彼の寂しさを積もらせた 水面に届かせようと其れを 彼はいつまでも投げるだろう 旋回した想いは時折反射し 白い雨に似た美しさを空に描いたが 誰も気付くことはとうとう無かった 「空の想い」