企業内失業者が600万人を超えるという衝撃のデータが示された平成21年度の経済財政白書は、深刻さを増す雇用問題と表裏一体の関係にある格差問題についても詳細に分析した。具体的には「所得格差の拡大傾向が続いている」と格差の広がりを明確に認めるとともに、その原因についても「非正規雇用の増加が主因」と断じた。衆院選では与野党ともに雇用や格差問題への積極的な対応を訴えようとしており、選挙戦での争点となりそうだ。 「構造改革の裏側でいろんな『ひずみ』が出てきた。それを正面から認めたことは意義がある」 閣議に白書を提出した林芳正経済財政担当相はこう語った。麻生政権ではこれまで、小泉政権下で進められた構造改革に伴う“ほころび”の修復を目指してきたが、今回の白書は、非正規労働者が増えた要因の一つとして、製造業への派遣を解禁した小泉政権の「労働法制の改正」を初めてあげた。行き過ぎた規制緩和が格差拡大につながっ