ところが、教育界・教育学界では、だれもこれを批判しない。格好よく見える外形・現象に酔ったのか、無知・無思慮・不勉強で、何の問題意識も生じないのか。” 書き出しから苛烈である。 『対話の害』(宇佐美寛・池田久美子/さくら社)は、サンデル教授「白熱教室」の徹底批判本だ。 『対話の害』(宇佐美寛・池田久美子/さくら社)帯文“不自由な、誘導尋問的な「話し合い」が、はびこっている。「哲学」や「自由」の実名において横行している。−その典型は、サンデル教授の「白熱教室」である。” 五人殺すか、一人殺すか NHKで2010年4月に放送されたサンデル教授の『ハーバード白熱教室』。 その後も、なんとかの白熱教室とか熱中教室といった類想タイトルの番組や本が続々と出てくるほど大ヒットした。 『対話の害』が具体例として主に取り上げて批判するのは、白熱教室のレクチャー1「殺人に正義はあるか」の「トロッコ問題」である。