『頼朝と義時』(講談社現代新書)の著者で日本中世史が専門の歴史学者の呉座勇一氏が、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の放送内容をレビューする本企画。今回は、昨日放送の第2話「佐殿の腹」について、専門家の視点から見たみどころや、今後の展開の伏線となるポイントを解説してもらいました。 前回記事:いよいよ放送開始!『鎌倉殿の13人』第1話を歴史学者はどう観たか 『鎌倉殿の13人』の第2話では、本作の主人公である北条義時が、ついに源頼朝から平家打倒の決意を打ち明けられるシーンが描かれた。頼朝は長い流人生活の中で、他人に心を開かぬ猜疑心の強い人物になっていた。そんな頼朝が、慎重家で、それでいて頼朝への直言を憚らない義時を信頼した瞬間は見ごたえがあった。まさに歴史はここから動き始めたと言えよう。歴史学の観点から、第2話のポイントを解説する。 北条時政の矜持 さて『鎌倉殿の13人』では、頼朝の身柄引き渡