前回の続き。 ノーブル・オブリゲイション 富野 たしかに僕も、いまの子どもたちの他者との関係を断ち切ろうとする傾向は分かりますし、実際、アニメの世界にはそういう若者たちが多いわけです。しかし僕は、それを基本的に大人の、とくに我々の世代の問題として考えたいという気がするんです。 つまり、われわれの世代はいつもなんとなく飢えていて、いつもなんとなく明日ばかりを見ていたために、自分の目の前にある事柄を抱きかかえるという精神構造を持てなかった。抱きかかえるというのは、ある部分では我慢しなければならないということでもあるから、当然、モラルの問題も含まれてくるわけですね。そういうものをみんな放っぽり投げちゃってつくった社会が、いまの日本の経済効果論と情報論だけに細分化してしまった大人社会だと思うんです。そういう大人たちの愛情や思いやりの浅さみたいなものが、簡単にいえば人心を荒廃させている。だけど、そ