読書に関するplanetesのブックマーク (346)

  • アメリカは「制度のアップデート」が必要だ――ハーバード大学の有名教授に踏み込んだ発言をさせる危機感:砂原庸介 | ブックハンティング | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト

    民主主義を支える規範は、共和党の強硬な姿勢と、それに対抗する民主党の規範破りで徐々に失われていった[ホワイトハウス近くのエリプス広場で集会に出席するドナルド・トランプ大統領(当時)=2021年1月6日](C)EPA=時事 共和党のドナルド・トランプ前大統領と民主党のカマラ・ハリス副大統領が争うアメリカ大統領選は接戦が予想されるが、多くの識者が指摘するのは、どちらが勝ってもアメリカ政治の混迷は続くということだ。混迷の原因はどこにあるのか。アメリカはどこへ向かうのか。トランプ政権時代に『民主主義の死に方』を執筆し、世界的な民主主義の後退と権威主義の台頭を指摘したスティーブン・レビツキーとダニエル・ジブラット(ともにハーバード大学政治学教授)による注目の新著『少数派の横暴 民主主義はいかにして奪われるか』を、神戸大学教授の砂原庸介氏が読み解いた。 *** 前著『民主主義の死に方』(新潮社、原題:

    アメリカは「制度のアップデート」が必要だ――ハーバード大学の有名教授に踏み込んだ発言をさせる危機感:砂原庸介 | ブックハンティング | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト
  • 村上春樹とアメリカ西海岸|矢野利裕

    ノーベル文学賞の延長で村上春樹のことが話題になっており、SNSでは村上に関する思い入れや解釈が飛び交っている。『騎士団長殺し』あたりから村上春樹の小説はなんとなく追わなくなってしまったのだけど、このタイミングで村上春樹のことについて振り返っておきたい。 以前、論文として発表したのだけど(「村上春樹の西海岸文脈——全共闘運動から『アフターダーク』へ」『村上春樹と二十一世紀』おうふう、2016.9)、個人的には、村上春樹は片岡義男のように、アメリカ西海岸カルチャーの影響がさまざまなかたちで流れている作家だと思う。その意味で村上に対しては、しばしば言われるような、記号化して歴史を無化した存在だとはまったく思わない。強いて言えば、従来とは違ったかたちで歴史を示した存在だと思う。以下、拙論「村上春樹の西海岸文脈」に依拠しながら述べていく。 『風の歌を聴け』とザ・ビーチ・ボーイズ『風の歌を聴け』におけ

    村上春樹とアメリカ西海岸|矢野利裕
    planetes
    planetes 2024/10/14
    これだけ語れる対象にキモいの一言で小遣い稼ぎしようとするバカが出てきたらそりゃみんな怒るよ。
  • BLの源流『JUNE』元編集長・佐川俊彦インタビュー「女の子は美少年の着ぐるみを着ると自由になる」

    1978年に『Comic Jun』として創刊され、同名ブランド「JUN」があったことから第3号より『JUNE』と改題されたこの雑誌は、女性向けの男性同性愛をテーマとした点で後のBL(ボーイズラブ)の源流となった。かつて“JUNE”は、このジャンルの総称でもあったのである。マンガ中心の同誌は一時休刊をはさみつつ1980年代に熱心なファンを獲得し、1982年より姉妹誌『小説JUNE』も発行された。だが、BL台頭後はテイストの違いから退潮を余儀なくされ、2013年に『JUNE』ブランドの雑誌は姿を消した。『JUNEの時代 BLの夜明け前』は、アルバイト時代に同誌を企画して編集に携わり、やがて編集長となった佐川俊彦の回顧録である。彼は、時代の推移をどのように見つめていたのか。(円堂都司昭/6月10日取材・構成) 改題前の創刊2号と改題後の3号 ――若い頃からマンガに親しむなかで、『JUNE』という

    BLの源流『JUNE』元編集長・佐川俊彦インタビュー「女の子は美少年の着ぐるみを着ると自由になる」
  • 『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』著者、小林照幸にあの頃のこと訊く - HONZ

    死の貝:日住血吸虫症との闘い (新潮文庫 こ 28-2) 作者: 小林 照幸 出版社: 新潮社; 文庫版 発売日: 2024/4/24 小林照幸『死の貝 日住血吸虫症との闘い 』(新潮文庫)が注目されている。4月24日に上梓されて以来、現在4刷、累計2万6千冊のスマッシュヒットだ。26年前の1998年に出版されたが、なぜいまこんなに注目を浴びているのか。以前より小林照幸のを”激推し”してきた東えりかと、医学者・仲野徹が話を聞いた 仲野 『死の貝』は昔読んだ記憶があったけれど、文庫化されたのも20年以上時間が経ってからだし、こんなに注目されることってある?と不思議になりました。どうして突然文庫化されたんですか? 小林 それは新潮社さんからご説明頂きましょうか。 編集部 もともと新潮社の営業部と未来屋書店で、月に一回、情報交換の定例会議をしています。そのなかで女性書店員さんが「そういえ

    『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』著者、小林照幸にあの頃のこと訊く - HONZ
  • 若宮總『イランの地下世界』(角川新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    6月14 若宮總『イランの地下世界』(角川新書) 7点 カテゴリ:社会7点 イラン革命以来、イスラームの政教一致体制の国家として知られるイラン。イスラーム法による統治が行われ、さぞかし敬虔なムスリムが多いようにも思えます。 しかし、2022年にスカーフを適切に被っていなかったために「風紀警察」に拘束されたことがきっかけで女性が死亡したことをきっかけに大規模なデモが巻き起こりました。 このデモは多くの死者と逮捕者を出して鎮圧されましたが、現在のイランではスカーフなしで女性が闊歩しているといいます。この変化はどう考えればいいのでしょうか? また、バブル期に多くのイラン人が日に働きに来ていたものの、それ以降となると、イランの人々と接触する機会も少なくなり、イラン人のイメージも持ちにくくなっているでしょう。  書の著者の「若宮總」という名前には聞き終え覚えがないでしょうが、これはこの名前が

  • 東大は「たかが東大、されど東大に他ならず」:御厨貴 | ブックハンティング | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト

  • 淺野良成『賛同・許容・傍観された自民党政治』 - 西東京日記 IN はてな

    ちょっと変わったタイトルのように思えますが、まさに内容を表しているタイトルです。 第2次安倍政権がなぜ長期にわたって支持されたのかという問題について、その理由を探ったになります。 書の出発点となているのは、谷口将紀『現代日の代表制民主政治』の2pで示されている次のグラフです。 グラフのちょうど真ん中の山が有権者の左右イデオロギーの分布、少し右にある山が衆議院議員の分布、そしてその頂点より右に引かれた縦の点線が安倍首相のイデオロギー的な位置であり、安倍首相が位置が有権者よりもかなり右にずれていることがわかります。また、衆議院議員の位置が右にずれているのも自民党議員が右傾化したことの影響が大きいです。 では、なぜ有権者のイデオロギー位置からずれた政権が支持されたのでしょうか? 『現代日の代表制民主政治』では、自民党の政党としての信用度、「財政・金融」、「教育・子育て」、「年金・医療」な

    淺野良成『賛同・許容・傍観された自民党政治』 - 西東京日記 IN はてな
  • 田原史起『中国農村の現在』(中公新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    4月10 田原史起『中国農村の現在』(中公新書) 9点 カテゴリ:社会9点 中国農村へのフィールドワークによって中国農村の姿を明らかにしようとした。非常に貴重な記録で抜群に面白いです。 中国の農村と都市の格差については、NHKスペシャルなどで熱心に農民工の問題をとり上げていたので知っている人も多いと思います。彼らが村に帰ると、そこは都市部に比べて圧倒的に貧しく、お金を稼げそうな仕事もないわけですが、そうした中で農民たちの不満は爆発しないのか? と思った人もいるのではないでしょうか。 また、中国の農村は日の農村のような地縁による強固な共同体ではなく非常に流動性が高いといった説明がなされますが、「農村」という言葉を日の農村でイメージする私たちにとって、なかなか流動性の高い農村というイメージはつかみにくいと思います。 こうしたさまざまな疑問に答えてくれるのが書です。詳しくはこのあと書いて

  • 【特別版】芥川賞・九段理江さん「芥川賞を獲るコツ、わかりました」 小説家になりたい人が、芥川賞作家になった人に聞いてみた。|好書好日

    九段理江さん=撮影・武藤奈緒美 第170回 芥川龍之介賞受賞作「東京都同情塔」 舞台は、ザハ・ハディドによる国立競技場が世論に翻弄されることなく完成した、もう一つの東京。犯罪者を同情されるべき人々=「ホモ・ミゼラビリス」として手厚く扱うべきという社会学論が一世を風靡し、まるでタワマンのような刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。建築家・牧名沙羅は、それが当に建てられるべきなのか、生成AIやナンパした美しい青年・拓人と言葉を交わしながら自身の考えを構築しようとするが――。 読むより先に書いていた 「私、よく人間ぽくないって言われるんですよ。小さい時から親にも、りえちゃんは人間じゃないからねって言われてました」 そう言って逆光のなか悠然と微笑む九段さんは、たしかにVRのようだ。 受賞歴も常人離れしている。2017年、18年と2年連続で文學界新人賞の最終候補に。2021年で見

    【特別版】芥川賞・九段理江さん「芥川賞を獲るコツ、わかりました」 小説家になりたい人が、芥川賞作家になった人に聞いてみた。|好書好日
  • 児玉真美『安楽死が合法の国で起こっていること』(ちくま新書) : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月21 児玉真美『安楽死が合法の国で起こっていること』(ちくま新書) カテゴリ:社会8点 相模原障害者施設殺傷事件、京都ALS嘱託殺人事件、そして映画『PLAN 75』など、日でもたびたび安楽死が話題になることがあります。 安楽死については当然ながら賛成派と反対派がいますが、賛成派の1つの論拠としてあるのは「海外ではすでに行われている」ということでしょう。 著者は以前からこの安楽死問題について情報を発信してきた人物ですが、著者が情報発信を始めた2007年頃において、安楽死が合法化されていたのは、米オレゴン州、ベルギー、オランダの3か所、それとスイスが自殺幇助を認めていました。 それが、ルクセンブルク、コロンビア、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア(一部を除く)、スペイン、ポルトガルに広がり、米国でもさまざまな州に広がっています。 では、そういった国で実際に何が起こっているのか?

  • 少数派と共存する政党政治 ──レイプハルト著『民主主義対民主主義』

    【連載】前田健太郎「政治学を読み、日を知る」(7) コンセンサス型民主主義の価値 政党システム論において、多党制が民主主義を不安定化させることに警鐘を鳴らしたのがジョヴァンニ・サルトーリだったとすれば、その価値を積極的に肯定したのが、オランダ出身の政治学者アレンド・レイプハルトである。その一九九九年の主著『民主主義対民主主義──多数決型とコンセンサス型の三六カ国比較研究』(粕谷祐子・菊池啓一訳、勁草書房、第二版二〇一四年)は、多党制によって成り立つ民主主義を、一つの規範的なモデルとして提示した。 アレンド・レイプハルト 著, 粕谷祐子・菊池啓一訳『民主主義対民主主義――多数決型とコンセンサス型の三六カ国比較研究』(勁草書房) 一般的に、民主主義といえば、イギリスのような二大政党制の下で定期的に政権交代を行う体制がイメージされることが多い。その前提となるのは、多数派と少数派の勝敗を明確に決

    少数派と共存する政党政治 ──レイプハルト著『民主主義対民主主義』
  • 本探しのプロ「図書館司書」の力で、子どもの頃の本棚を再現する | オモコロ

    で育った。友達がいなかったから、子どもの頃はばかり読んでいた。 実家には壁一面の棚があって、休日はいつも棚の前で過ごした。 悲しい話から失礼します。ライターの岡田悠と申します。背後に棚があるので、もうちょっと棚について語らせてください。 棚は、生き物みたいだと思う。を買ったり、処分したりを繰り返していくうちに、身体の細胞が少しずつ入れ替わっていくように、棚の中身も変化していく。 だから昔の写真やおもちゃは残っていても、昔の棚は残っていない。 に支えられていた、子どもの頃。当時の棚には、自分の原点が詰まっていると思う。当時の棚を、再現してみたい。そしてノスタルジーに浸りたい。 ちょうど先日、実家に帰省する機会があったので、2023年現在の実家の棚を確認してみた。棚自体は昔と同じものだが、僕が実家を出た後に家族が使っていたので、中身はほとんど入れ替わっている。 現

    本探しのプロ「図書館司書」の力で、子どもの頃の本棚を再現する | オモコロ
  • 「締切を過ぎても編集者は何も言わない」そんな“緩いコラム”がまさかの書籍化…アルコ&ピース酒井健太(40)が「初めての出版」に戸惑うワケ | 文春オンライン

  • 『師匠』刊行記念対談 太田 光×立川志らく「談志を知らない世代のために」 | 集英社 文芸ステーション

    人気落語家・立川志らくさんが、師匠にして伝説の噺家である七代目・立川談志との日々を綴った自伝エッセイ『師匠』。 誌連載時から話題を呼んだ同作が、まもなく単行として刊行されます。 そこで、かつての談志が絶大な信頼を寄せ、「俺の未練を置いてく」とまで言わしめた爆笑問題・太田光さんをお迎えして、ふたりが目の当たりにした談志の凄すごみ、知られざる素顔について語り合っていただきました。 対談は、在りし日の談志が暮らした「練馬の家」にて。いまだ冷めない情熱の余韻とともにお届けします。 撮影/大西二士男 志らく 太田さん、この書斎には以前もいらっしゃったことありましたっけ? 太田 えぇ。5、6年前ですかね、テレビの収録で一度お邪魔してます。もうほんと、談志師匠の残り香だらけで(笑)。この机と椅子に座って書き物をされてたんだなぁとか、書棚を眺めるだけでも古今東西、やっぱりすごい勉強家だったんだなってい

    『師匠』刊行記念対談 太田 光×立川志らく「談志を知らない世代のために」 | 集英社 文芸ステーション
  • 「暗殺の文化」が照らしだす日本の民主主義:前田亮介 | ブックハンティング | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト

    昨年7月の安倍晋三元首相暗殺、そして今年4月の岸田文雄首相暗殺未遂と、令和の日で物騒な事件が立て続けに起こっている。 このような世情のなか、歴史社会学者の筒井清忠氏が『近代日暗殺史』(PHP新書)を刊行した。同書で筒井氏は、明治と大正の暗殺事件を分析するとともに、日において暗殺に同情的な文化ができた歴史的背景についても考察している。 はたして、日の民主主義において、そのような「暗殺の文化」はいかなる影響を及ぼしているのか――。日近代史の研究者で、北海道大学准教授の前田亮介氏が、『近代日暗殺史』を読み解きながら、暗殺とデモクラシーの関係について考察する。 * * * 正攻法による「日型暗殺史」の再構成 政治的要人の暗殺は、日政治外交史でこれまで空白として残されてきたテーマである。井伊直弼が、伊藤博文が、原敬がもし暗殺されていなかったら、歴史はどのように変わっていたかという思考

    「暗殺の文化」が照らしだす日本の民主主義:前田亮介 | ブックハンティング | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト
  • 佐藤卓己『池崎忠孝の明暗』|negadaikon

    ただ、彼が大正・昭和の精神史上に占めた位置については漠然としたイメージしかもっていなかったから、非常に勉強になった。 「メディア議員」という視点に関しては別ので既に大きく取り上げられており、1930年代、とりわけ2・26事件以後に言論の暗黒時代と従来言われてきたなかにあって、「言論と文章によって一世を風靡しようとする政治家」=メディア議員の議席は増え、躍進したといえる(p.325)という評価がある。 このことは、書以前に登場した共同研究の成果物である『近代日のメディア議員』序章でも指摘されている。 『近代日のメディア議員』メディア議員は、何らかの価値や理念の実現という政治の論理ではなく、読者数や影響力というメディアの論理によって行動する人々と規定される。 戦争の時代における言論の弾圧・停滞について、戦後の出版・言論関係者の証言から「暗黒時代」と捉えるのではなく、その実相を再考すべき

    佐藤卓己『池崎忠孝の明暗』|negadaikon
  • 『M1グランプリ』創設の真実 ――中村計著『笑い神 M1、その純情と狂気』を裁断する―― - 吉村誠ブログ「いとをかし」

    昨年11月に出版された中村計著『笑い神 M1、その狂気と純情』(文藝春秋社)を読んだ。「M1グランプリ」を創設した者の一人として興味を抱いたからだ。「プロローグ」に「漫才とは何か、笑いとは何か。その核心を、その真髄を覗き見たくなった」と書かれてあったので、少し期待をしながら読んだ。 しかしながら、読み進めるうちに苦笑は失笑に変わり、読み終えた時には失望を通り越して呆れてしまった。 あまりにひどいである。このような「間違いだらけ」の論考で、世間をたぶらかしてはいけない、と私は思う。関西弁の話しことばで表現すれば「中村さん、わかりもせぇへんのに、何、たいそうなこと言うてんねん」である。 中村氏が、それまでの自分の人生とは縁遠かった「お笑い」というフィールドを題材にして、たくさんの時間をかけて、多くの人達に話を聞かれた労苦は評価する。しかし、著は「漫才」「笑い」「M1」について、なんら正鵠を

    『M1グランプリ』創設の真実 ――中村計著『笑い神 M1、その純情と狂気』を裁断する―― - 吉村誠ブログ「いとをかし」
  • 竹本哲子『誰も書けなかった選挙裏方30年』 弱小政党・民社党の悲哀を裏方から伝えるグンバツに面白い一冊 - 元ちゃんの驢鳴犬吠

    哲子は民社党衆議院議員を務めた竹孫一の。戦前のクリスチャン衆議院議員・柿原政一郎の娘でもある。その竹哲子が自身の「代議士の」としての苦労を赤裸々に語ったのが『誰も書けなかった選挙裏方30年―元代議士婦人が回想する明と暗』(東洋堂企画出版社、1987)。政治家のが書いたはけっこうあるが、自民党や社会党ではなく、民社党というヌエ的政党の選挙の内実が断片的にもわかる点で、書には高い価値がある。 とにかく竹哲子が書で言いたかったことは、愚痴である。民社党という、自民党・社会党の二大政党に挟まれた弱小政党の候補として当選を重ねる苦労が、痛いほど伝わってくる。何しろ就職のあっせんなどを持ち込んでくる有権者がごろごろいたようだし、違法とは百も承知で有権者に金品を配らなければならなかったようだし、選挙事務所に詰める運動員の事にまで細やかに気を使わなければいけない「内助の功」が赤裸々

  • 五十嵐彰、迫田さやか『不倫―実証分析が示す全貌』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    2月14 五十嵐彰、迫田さやか『不倫―実証分析が示す全貌』(中公新書) 8点 カテゴリ:社会8点 お堅いイメージの強い中公新書とは思えぬテーマですが、カバーの見返しにある次の内容紹介を見れば、書がどんなかよく分かると思います。 配偶者以外との性交渉を指す「不倫」。毎週のように有名人がスクープされる関心事である一方、客観的な情報は乏しい。経済学者と社会学者が総合調査を敢行し、海外での研究もふまえて全体像を明らかにした。何%が経験者か、どんな人が何を求めてどんな相手とするか、どの程度の期間続いてなぜ終わるか、家族にどんな影響があるか、バッシングするのはどんな人か。イメージが先行しがちなテーマに実証的に迫る。 ただし、不倫のような世間的によくないとされていることを調べようとすると大きな問題に突き当たります。 例えば、周囲の知り合いの既婚者に「不倫したことある?」と聞いて回って、結果として不倫

  • ルーク・S・ロバーツ『泰平を演じる』 - 西東京日記 IN はてな

    副題は「徳川期日政治空間と「公然の秘密」」。 何とも面白そうなタイトルと副題ですが、翻訳に関しても監訳を務める三谷博が書の面白さに注目してネット上で訳者を募り、それに応じた友田健太郎が訳したというもので、今までにはない切り口で江戸時代の政治空間を分析しています。 「ホンネとタテマエ」というのは日社会の特徴というもので、江戸時代の政治に「ホンネとタテマエ」の乖離があったと言っても、「そんなものだろ」と思ってしまうでしょう。 しかし、書で紹介されている「ホンネとタテマエ」の乖離は異常なもので、例えば、死んだはずの大名が生きていることにされたりしています(「ゾンビ大名」)。 書はこのような徳川期の政治空間を「表」と「内」または「内証」という概念を使って描き出します。表向きは徳川の厳し掟に従っていても、内側では従ってない。しかも、徳川も表の秩序が維持されるならそれを認めるというロジック

    ルーク・S・ロバーツ『泰平を演じる』 - 西東京日記 IN はてな