民主主義を支える規範は、共和党の強硬な姿勢と、それに対抗する民主党の規範破りで徐々に失われていった[ホワイトハウス近くのエリプス広場で集会に出席するドナルド・トランプ大統領(当時)=2021年1月6日](C)EPA=時事 共和党のドナルド・トランプ前大統領と民主党のカマラ・ハリス副大統領が争うアメリカ大統領選は接戦が予想されるが、多くの識者が指摘するのは、どちらが勝ってもアメリカ政治の混迷は続くということだ。混迷の原因はどこにあるのか。アメリカはどこへ向かうのか。トランプ政権時代に『民主主義の死に方』を執筆し、世界的な民主主義の後退と権威主義の台頭を指摘したスティーブン・レビツキーとダニエル・ジブラット(ともにハーバード大学政治学教授)による注目の新著『少数派の横暴 民主主義はいかにして奪われるか』を、神戸大学教授の砂原庸介氏が読み解いた。 *** 前著『民主主義の死に方』(新潮社、原題: