取材を続けて14回目の傍聴。 遺族のことばが法廷に響くとき、被告は決まって表情を崩すまいとしているように見えました。それを、より顕著に感じたこの日。 「あなたのご両親に謝りたい。 大事な1人息子に死刑を望むことを」 みずから直接法廷に立って、そのことばを弁護士に託して、犠牲となった5人の遺族が、この3年半抱えてきた思いを伝えました。 相模原市の知的障害者施設で入所者19人が殺害されるなどした事件で、元職員の植松聖被告(30)が殺人などの罪に問われている裁判。 初公判からおよそ1か月となる2月7日と10日の裁判では、2人の精神科医が法廷に立ちました。 1人は裁判所が行った精神鑑定を担当し「病的な精神状態ではなかった」と指摘した大澤達哉医師。 もう1人は「責任能力がなかった」と無罪を主張している被告の弁護士が分析を依頼した工藤行夫医師。