山中伸弥さん(撮影/写真部・松永卓也)この記事の写真をすべて見る ノーベル賞を受賞した山中伸弥氏は稲盛和夫・京セラ名誉会長(82)との対談をまとめた著書『賢く生きるより 辛抱強いバカになれ』の中で、iPS細胞をめぐる「特許戦争」の秘話を以下のように明かしている * * * 山中:iPS細胞技術の基本特許については、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)つまり京都大学が主導権を握れている状態です。14年3月の時点ですが、欧米を中心に30の国・地域で京大が保有する基本特許が成立しています。これも、CiRAの知財管理室の専門家チームが頑張ってくれなければ不可能でした。 稲盛:京大という公的機関が基本特許をもったことで、多くの研究機関、関連企業は研究しやすくなったんですね。 山中:はい。京大が基本特許を押さえたことで、公的機関の研究者なら無償で、民間企業であっても、通常、最大でも数百万円という非