次世代の大気圏突入機はシイタケ型? 上空で傘のような空気ブレーキを広げてフワリと大気圏に突入する新しい飛行体の実験については、観測ロケットS-310-41号機報告としてISASニュース2012年5月号と9月号で紹介させていただきました。本稿では、そこに至る研究のストーリーをお話ししたいと思います。 宇宙から人や物資を帰還させたり、火星などの大気のある惑星に探査機を着陸させたりする際、大気圏突入は避けて通れない関門です。その際に最も厳しいハードルが、空力加熱の問題です。これは、大気の分子が高速で飛行する機体表面にぶつかって運動エネルギーを失い、熱に変わるために起こります。 大切な宇宙船が空力加熱にやられて燃えないようにするには、何らかの対策が必要です。これまでは、「いかにして上手に熱に耐えるか」の観点から研究開発が行われてきました。スペースシャトルのタイルがそのよい例です。私たちはこの方向性