新型コロナウイルスの流行を経てオンライン授業やテレワークが普及する中、病的ではない「ひきこもり」が増えてきた。九州大の専門家チームは、「病的なひきこもり」と、病的ではない、いわば健康的なひきこもりを区別するための簡便な診断評価法を開発し、昨年9月、国際学術誌に発表した。この評価法を活用して病的なひきこもりを早期に発見して支援し、うつ病やゲーム障害など精神疾患の予防につなげたいとしている。 ▽146万人内閣府がコロナ流行時の2022年11月に行った調査によると、半年以上、家族以外とほとんど会話をしないなどの条件を満たすひきこもりの人は全国で146万人と推定された。コロナ前の15~18年の調査では115万人で、約30万人増えたことになる。調査の担当者は「外出が制限され、自宅でも授業や仕事ができるという状況がきっかけになった可能性がある」と指摘した。 国内で初めてひきこもりの専門外来を開設した九
病気やけがの治療のため全国の医療機関に支払われた昨年度・令和4年度の医療費は、概算で46兆円にのぼり、2年連続で過去最高を更新しました。厚生労働省は、オミクロン株の流行で新型コロナの患者数が増えたことなどが主な要因だとしています。 厚生労働省のまとめによりますと昨年度・令和4年度の医療費は、概算で46兆円で、前の年度から1兆8000億円、率にして4%増加し、2年連続で過去最高を更新しました。 このうち、主な病名が新型コロナと診断された人の医療費は推計でおよそ8600億円で、前の年度の2倍近くに増えました。 1人あたりの医療費は、前の年度より1万6000円増えて36万8000円となり、年代別では ▽75歳未満が24万5000円 ▽75歳以上は95万6000円となっています。 厚生労働省は、医療費が増加した主な要因について、オミクロン株の流行で新型コロナの患者数が増えたことに加え、令和2年度の
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 第2回は、トシさんの自己紹介と、本連載のテーマである「依存症」とは何か?について。 「ヘイ、マコト」 こんな呼びかけから始まる文章を書くなんて、本当に初めての体験です。ちょっと恥
インターネットを活用した自殺予防実践は良きパターナリズムと言えるのか?(和光大学現代人間学部教授:末木新) #誘惑する心理学 現在のインターネット環境では、自殺に関連する用語を調べると、相談先が示されるようになっています。 このような自殺予防対策は、有効なのか、パターナリズムではないのかという批判について和光大学の末木新先生にご解説いただきました。 本稿で論じること/目的 本ページへのアクセス増を目的に、やや煽情的なタイトルをつけさせていただきましたが、本稿の執筆目的は、以下の問題について論じることです。 ●(主にウェブ上の)行動履歴データをもとにした自殺リスクの推定結果を活用した自殺予防実践は、良きパターナリズムと言えるのか? ● 悪い点があるとすれば、それはどのような点か? 改善は可能なのか? また、これらの問題について論じる際に、予め執筆者のこれまでの経歴を説明しておく方がフェアです
「発達障害のある子」はネットやゲームに依存しやすいのか? 子どもがダラダラと動画を見ている、勉強せずにゲームばかりしている。これはインターネット依存なのでは──。そんな悩みを抱えている保護者も多いのではないだろうか。しかし、「コロナ禍で外出や活動が制限されたこともあり、臨床の現場では関連するご相談は増えていますが、実はインターネットやゲームの“依存”は、病気の概念としては整理されていません」と愛知県医療療育総合センター 中央病院子どものこころ科(児童精神科)部長の吉川徹氏は話す。 吉川徹(よしかわ・とおる) 児童精神科医、愛知県医療療育総合センター中央病院子どものこころ科(児童精神科)部長、あいち発達障害支援センター副センター長、愛知県中央児童・障害者相談センター児童専門監 愛知県を中心に、発達障害のある児童や青年の臨床に長年携わっている。日本児童青年精神医学会代議員、日本自閉症スペクトラ
日本において、がんは死因順位の第1位である。がんにかかる人やがんで死ぬ人をゼロにすることはできないが、医学は進歩し、予防法も治療法も改善している。全世界でも日本でも、年齢別がん死亡率や年齢調整がん死亡率は徐々に減少している。ここでは日本の年齢別がん死亡率の推移をグラフで紹介しよう。引用はすべて■Cancer Over Timeから。 日本の小児のがん死亡率は減少している すべてのがんの死亡率でみると、日本の小児(0歳~14歳)のがん死亡率は、男女ともに1970年ごろをピークに、以降は減少し続けている。小児には白血病やリンパ腫などの血液系の悪性腫瘍が多い。これらのがんに対する化学療法(抗がん剤治療)は大きく進歩している。 日本の0~14歳の全がん粗死亡率(10万人年あたり)の推移、男女 日本のAYA世代のがん死亡率は減少している AYA世代とはAdolescent and Young Adu
弁護士ドットコム 民事・その他 「10人に担がれ、精神科に強制入院させられた」高校生が都や母親らを提訴 13歳で同意なく精神科に強制入院
2022年も残すところわずか。今年最後のエントリーとなります。診療活動に加えて講演会、原稿執筆などに追われなかなかブログにとりかかれず、以前は週1を目指していたのですがちょっとむずかしい状況が続いています(嘆)。来年は学会運営まで重なってくるのでこれまたどうなりますかというところですが、できる範囲でぼちぼち書いていきたいと思います。 今回は、いわゆる「グレーゾーン」について書いてみましょう。発達障害の診断は、最終的にはDSM-5という診断基準に則って行われます。以前から繰り返し書いておりますが、発達障害はWAISなどの心理検査で診断をつけるわけではなく、ましてや脳波検査などでは診断不可能ですのでそこんとこよろしく、です(参考:No.096, No.393)。 DSM-5では、症状が列記されており必要な数が揃うことで診断が下りるわけですが、中にはいろいろと困りごとはあるものの、その必要な数が
アスペルガーイシトナチス 2019年6月20日発売 定価:2,090円(税込み) ISBN 978-4-334-96231-9 ノンフィクション、学芸 判型:四六判ソフト アスペルガー医師とナチス発達障害の一つの起源エディス・シェファー/著 山田美明/訳 アスペルガーの業績は、ナチスの精神医学の産物だった!? アスペルガーはよく、第三帝国時代に黙々と研究に没頭しながらナチスに抵抗した、進歩的で思いやりのある人物として表現される。(中略) ところが記録や史料を調べてみると、まったく別の物語が見えてくる。アスペルガーは、ウィーンの児童殺害システムにさまざまなレベルで関与していた。ウィーンの児童安楽死システムの指導者たちと近しい関係にあり、ナチス政府のさまざまな役職を通じて、何十人もの子どもをシュピーゲルグルント児童養護施設に送っていた。シュピーゲルグルントとは、ウィーンの子どもたちが殺害された
大麻の「使用罪」を新たに設ける方向で検討が進められている厚生労働省の審議会「大麻規制検討小委員会」。 この前段として、昨年開かれていた「大麻等の薬物対策のあり方検討会」と大きく変わったことがある。 大麻で医療にかかる患者を診ている医師代表の委員が、罰則を設けることに賛同したことだ。 海外では罰則で懲らしめることから回復支援に舵を切る中、世界の潮流に逆行するかのような厳罰化に、患者を診ている医師が賛同したのはなぜなのだろうか? BuzzFeed Japan Medicalは、その委員、神奈川県立精神医療センター依存症診療科・依存症研究室・副院長の小林桜児さんに真意を聞いた。 大麻だけでは困ることは少ない——前段の「大麻のあり方検討会」では松本俊彦先生が大麻を使った患者を診ている立場から使用罪導入に反対していました。小林先生に変わってから使用罪を肯定する発言に変わったことに驚きました。 (使用
心電図機能で「心房細動」を早期発見 気が付くと、仕事関係者の腕にApple Watchを発見することが増えてきた。一番多いのは、「健康(ヘルスケア)機能に惹かれて購入した」タイプだ。コロナ禍で外出の機会が減り、ジムにも通えていないせいで太ったという人が、せめてもの健康増進にと買っている。一方で、「便利そうだけど、べつになくても困らない」と購入を見送っている人も少なくないだろう。 ただ実は、医療の面から見ると、Apple Watchは一般に思われている以上に使える。それも10代~80代まで、幅広い年齢層の「生命の危機の回避」に役立つ可能性がある。 特に注目されているのは昨年秋に医療機器認証を取得した「家庭用心電計プログラム」(心電図アプリケーション)と「家庭用心拍数モニタプログラム」(不規則な心拍の通知プログラム)の2つ。国が医療機器として認めたということは、それだけ信頼できるということで、
自傷行為や暴れるといった「強度行動障害」のある人は、全国に少なくとも2万5千人いると言われる。重度になると常に介助が必要だが、施設側は人手不足に加え、他の利用者や職員の安全確保の面で入所を断らざるを得ないケースもある。入所先が見つからず、在宅で息子の見守りを続ける福井県福井市の夫婦は「24時間気が休まらず、普通の生活も困難になってきた。家で支えるのはもう無理」と悲鳴を上げる。 50代の夫婦の次男(23)は2歳で広汎性発達障害(自閉症)と診断された。特別支援学校小学部6年の頃から強度行動障害の兆候が現れ始めたが、在学中は比較的安定していた。高等部を卒業後、建物から飛び降りたり、電卓を投げつけたりする重度の症状が見られるようになった。家の部屋の窓ガラスを割ってしまうため、アルミ板に交換した。 次男は、障害者総合支援法に基づく支援の度合いが最も重い「6」。現在は週1回のショートステイと週4回の通
7月12日、一週間後に行動制限を解除することを正式に発表するジョンソン首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ) (黒木亮・作家) ワクチン接種が十分でないところにデルタ株が猛威をふるっている日本の現状は、筆者が住む英国の去年の秋から冬にかけての状況を彷彿させる。ただ違う点が1つある。英国では医療が崩壊する懸念はほとんどなかった。理由は、昨年3月中にコロナ患者用の十分な病床と医療スタッフを確保し、それを厳しいロックダウンで支えたからだ。 イギリスでは「野戦病院」も複数開設された。写真はマンチェスターのナイチンゲール病院 ■ 昨年3月中に感染ピークの準備を完了 昨年3月17日、英国の人口の84%を占めるイングランドのNHS(無料の国営医療サービス)のCEOサイモン・スティーブンス卿は、NHSの約10万の病床のうち3万床以上をコロナ患者向けに用意するよう全NHS病院に命令を発した。 具体的には、
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