「あのとき、できることがあったのではないか」 ひきこもり当事者の声を25年以上にわたって取材している、ジャーナリストの池上正樹さんには、長年しまい込んできた思いがありました。 4つ下の弟は、仕事についても長続きせず、ひきこもりがちな生活を送っていました。弟は両親を看取り、その後アパートで一人暮らしをしていましたが、7年前に自宅で亡くなっているところを発見されました。 ジャーナリストとしてではなく、8050問題の“当事者”として。 兄弟姉妹の立場の人たちの役に立ててほしいと、池上さんはその過去を語り始めました。(#となりのこもりびと取材班 ディレクター 森田智子) 「僕の弟も、“ひきこもり死”でした。だから兄弟の立場の気持ちがよくわかります」 池上さんの弟がひきこもりの末に亡くなったという話を初めて聞いたのは、4年前の夏でした。 私は、高齢の親が亡くなったあと、残された本人が命の危険にさらさ