資本主義が嫌いな人のための経済学 [著]ジョセフ・ヒース 2008年金融危機に始まる世界不況、さらには震災後には特に、「資本主義はもう終わり」みたいな物言いを無数に見かけてきた。これは特に左派に多いし、その人たちは資本主義の理論的根拠(と思っている)経済学も破綻(はたん)したと言いたがる。 でもそのほとんどは、実は経済学の主張をろくに知らず、自分の主張も考え抜いていない。そしてその無知と怠慢につけこむ保守派の乱暴な議論に反論できず、万年負け犬の地位に甘んじている。 それじゃダメだ。資本主義のダメな現状を改善したいなら、左派もちゃんと勉強しようぜ、というのが本書だ。 というわけで本書は、筋金入り左派哲学者による、むずかしい綱渡りだ。経済学を乱用して既成体制の走狗(そうく)と化した一部論者には鉄槌(てっつい)を。 しかし優しさとか友愛とか、左派の無内容な情緒的議論にも手加減無用。本書の邦題は実
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