留置場での面会は「チケットの争奪戦」 この時渡邊被告が勾留されていたのは、愛知県春日井署内の女性留置施設だった。 面会するためには、まず朝9時に電話して署内に2部屋しかない面会室の予約を取り、それから被告に面会希望者と会う意思があるかどうかを、留置施設の担当者を通じて確認しなければならない。 留置施設の中にいる大勢の未決拘禁者たちの家族や知人など、関係者がこぞって面会の予約を取ろうと一斉に電話をかけるので、9時から20分間ほどは常に“お話し中”で、面会室を予約するだけでも、まるでコンサートのチケット争奪戦のように困難なのだ。 被告人との面会は、事件を起こした動機や被害者についてどんな感情を持っているか、また本人の生い立ちなどを直接聞くことができるため、事件取材において大きな意味を持つ。最初に手紙を送り、自己紹介をした上で、なぜ面会したいのか、どんなことを聞きたいのかを相手に伝えてから面会に
