■特集:データセキュリティー カフェでのメール「丸裸」監視システム「プリズム」とは 米中央情報局(CIA)の元職員、エドワード・スノーデン容疑者が、米国家安全保障局(NSA)による情報収集を告発したことが波紋を広げている。インターネットを流れるデータは様々な形で流出する危険がある。日本のあなたが何げなく送ったメールの中身も、どこかで盗み見られているかもしれない。 ホームページで商品情報を閲覧したり、メールを作ったり、ツイッターでつぶやいたり。私たちが送信したこうしたデータは、どこへ向かうのだろう。 例えば、デジカメの画像を米企業のネットサービスに保存する場合。あなたが机に座り、パソコンのキーボードをたたく。データはまず、パケットと呼ばれる小包に小分けされて国内のプロバイダー(接続事業者)に送られ、インターネットに乗る。 小包には差出人と宛先を記した荷札が貼られ、様々な経路を通って、
プライドの社会学 自己をデザインする夢 (筑摩選書) 著者:奥井 智之 出版社:筑摩書房 ジャンル:新書・選書・ブックレット プライドの社会学―自己をデザインする夢 [著]奥井智之 プライドとは、個人的な満足によるものなのだろうか。それとも、社会的な評価を要するものなのだろうか。たとえば、尊敬される地位、高い学歴、美しい容姿……等々は、個人的な資源でありつつも、社会の中で他人にその価値を共有されねば評価されない。自分や自分が属すものへの評価体系。本書はそれをプライド・システムと呼び、一般には心理的な問題とされているプライドを、社会学的に問い直すことを眼目としている。 なるほどプライドとは、誠に魅力的で厄介な代物だ。たとえば、ジェーン・オースティン『高慢と偏見』の、「高慢」の原語はまさに「プライド」。「高慢」ならば悪徳だが、「自負」ならばどうだろうか。むしろ向上心の表れではないのか。この両義
辛坊治郎が遭難した件。どうも彼は自己責任論者と見做されているようだけれども、明確なそれを示す話がない(イラク人質事件は微妙な模様)。 さて、こういう問題の時に、考えなければならないこと。愚行権に基づく(まあ愚行に限ったことではないが国民の)行動について、国家はコストを負担する。海難は基本無料だし、山岳の場合も民間が出動するに至らない(警察のみで完結する)場合は費用がかからない。これもある種の文化に対するコスト負担といっていいだろうけれども、危険なことを避けようとしている人から見ると納得感の少ない費用ではある。 だから「自己責任」なんだから助けなくていいよみたいな話出てくるんだけど、そういうわけにも行かない。こういう言い方するのもなんだが、一定量の愚行についてはそれを保証するのが社会のデザイン。大雨の日に河原でキャンプとか、アホかと言いたくなるようなことは沢山あるけれども、理由によらず救助が
■樋口陽一 東京大・東北大名誉教授 改憲発議要件を国会議員の3分の2から過半数に改めようとする安倍政権の憲法96条改正への反対を掲げ、アカデミズムを代表する学者らが「96条の会」を結成した。代表は東大・東北大名誉教授の樋口陽一(78)。憲法学の長老を駆り立てたものは何か、尋ねた。 ◇ 安倍晋三首相が、政権に就く前の昨年9月に講演でこう話したと報道されました。 「たった3分の1を超える反対で(改憲を)発議できないのはおかしい。そういう横柄な議員には選挙で退場してもらいたい」 憲法96条が国会に厳しい発議要件を課すのは、様々な意見をぶつけ合い、論点が煮詰まる過程を国民に示した上で、国民投票で誤りない判断をしてもらうためです。そもそも国会とは議論を尽くす所です。 だがそうした議会観に立たないことを「横柄」発言は映し出しています。 96条という外堀を埋めた後、憲法前文や各条文という内堀、立憲主義と
オーストラリア・シドニー(Sydney)を歩く人々(2013年6月14日撮影、資料写真)。(c)AFP/Saeed KHAN 【6月15日 AFP】世界各地で性の多様性の容認に向けた動きが広がるなか、オーストラリア政府は、公的文書に記録される性別として、個人が「男性」や「女性」の代わりに「不確定/インターセックス/不特定」という第3の選択肢を選べるようにすることを定めた新指針を発表した。 マーク・ドレフュス(Mark Dreyfus)連邦司法長官によると、7月1日に発効するこの新指針により、トランスジェンダーやインターセックスといった人々は、各連邦政府機関の保管する個人記録上の自分の性別を明確化したり、変更したりすることがより容易になるという。 ドレフュス長官は13日に発表した声明のなかで、「人々は、出生時や幼少時に与えられたものとは異なる性別や不確定な性別として、自己を認識したり社会から
バウアーの課題 政治的解放の限界 福音書 「革命的実践を正しい関係の〜」についての解説 前日のつづき。 的場昭弘による「ユダヤ人問題によせて」解説編。訳と解説が交互するので、区別できるように、冒頭に[訳]と[解説]をつけました。 新訳 初期マルクス――「ユダヤ人問題に寄せて」「ヘーゲル法哲学批判‐序説」 作者: カール・マルクス,的場昭弘 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2013/02/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る バウアーの課題 [訳] したがってバウアーは、一方でユダヤ人は国家市民として解放されるべく、人間はユダヤ教を、宗教一般をやめるべきだと主張しているわけである。他方でその結果的な形だが、彼にとって重要なことはもっぱら宗教をやめるために、宗教を政治的にやめることである。宗教が前提としている国家はもはや真の国家でも、現実の国家でもない。「当然
なぜ、マルクスは『資本論』を書かねばならなかったのか。 新訳「ユダヤ人問題に寄せて」 国家の宗教からの解放は、現実の人間を宗教から解放するということではない 自由という人権は政治的生活と闘争に入るや権利であることをやめる 的場昭弘による4ページ程の序文がえらくわかりやすいので、ほぼ丸ごと引用。 新訳 初期マルクス――「ユダヤ人問題に寄せて」「ヘーゲル法哲学批判‐序説」 作者: カール・マルクス,的場昭弘 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2013/02/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る なぜ、マルクスは『資本論』を書かねばならなかったのか。 言い換えれば、なぜマルクスは経済学を批判しなければならなくなったのか。その謎はすべて、1844年『独仏年誌』に掲載された本書の二つの論文「ユダヤ人問題に寄せて」と「ヘーゲル法哲学批判――序説」にあるといってもよいだろ
国民全員に番号を割り振る共通番号制度関連法(マイナンバー法)は24日午後、参院本会議で自民、公明両党と民主党、日本維新の会、みんなの党などの賛成多数で可決、成立した。 年金などの社会保障と納税を一つの個人番号で管理する制度が2016年1月から始まる。 同法は昨年の衆院解散でいったん廃案になったが、その後、自民、公明、民主3党による修正を経て、今年3月に政府が関連法案を国会提出した。 共通番号制度は、国民一人ひとりに番号を割り振り、国や市町村などがバラバラに管理している社会保障や所得の情報をまとめて管理する制度。「より公平な社会保障制度・税制の基盤になるとともに、行政の効率化に資する」(安倍首相)と期待されている。
14日、81歳で亡くなったロナルド・ドウォーキンは現代の法哲学・政治哲学界に屹立(きつりつ)する巨人である。革新的かつ論争的なスタイルで英米圏のリベラルな思潮を主導し、合衆国最高裁の動向にも大きな影響を与えた。 アイザイア・バーリンやジョン・ロールズ等のリベラリズムの主流は、価値の多元性を強調し、多様な世界観の公平な共存を提唱する。これに対してドウォーキンは、価値の世界は全体として整合していると言う。自由と平等、社会生活の道徳と個人的倫理とは衝突しない。何が責任ある態度か、何が正しい政策か、すばらしい人生とは何かは、すべて矛盾なく支え合っている。人が自分の生を意味あるものとして生きるには、すべての価値は統一された姿で捉えられなければならない。 1977年に出版された最初の論文集『権利論』は、支配的思想であった法実証主義と功利主義を根底的レベルで批判した。法実証主義によれば、法は社会的事実で
以前、ココイチで隣に座っていたバイト仲間とおぼしき若い男性4人が「いかにして店の売り上げを上げられるか」について熱い議論を交わしていた。その後「パチンコいくか」とバイト代を溶かしに出かけてた。 「良いようにやられすぎだろ」と思いながら、「その店の店長はいい買い物したな」ともドライに考えた。 この、彼らの時給が幾らかはしらないがおそらく高くても1000円前後だろう。 一日8時間、週3日×4=月9万ちょっとの給料を貰い、さらに仕事後も仕事について熱く議論。その条件で彼らが何を買ってるのかと言えば「働いてる実感」「職場という家族へのコミット感」あたりだろうな、と想像する。 彼らの気持ちはわからんでもない。 家族的雰囲気のあるコミュニティに参加できている実感ってのはたしかにイイ物がある。それが生きるためのお金につながるのなら尚更。 さらにその組織が「日本を変える!」みたいな方向に進んでたら、誰でも
人はなぜ自ら命を絶つのか。作家平野啓一郎が、長編『空白を満たしなさい』(講談社)で「自殺」問題に正面から取り組んだ。日本では昨年、2万7766人もが自殺した。今の時代をどう生きるのか、生きづらさにどう対処するのか、一つの提案がここにある。 「つらいことや悪いことが重なって自殺すると思われるが、生活が充実していても一流企業の社員でも自殺することがある。誰にでも起こりうることだ。根性がないからと言われることにも反発があった」 物語の舞台は、死者が生き返ったニュースが相次ぐ現代。主人公はその「復生者」のひとり土屋徹生、36歳で、3年前に自殺していた。妻を愛し、息子も生まれ、仕事も苦労した企画が軌道にのりかけていた時で、自他共に「幸せ」と認める状態だった。なのに、なぜ? 徹生は、自分は殺されたと思い込み、「空白」となっている死の直前の記憶をたどっていく。 自殺対策のNPOなどに取材し、リストカット
気温が摂氏15.0度である。これは測定値であり、厳密に測定された値である。一方、15.0度の屋外において半袖で1時間過ごしたときにどれだけの人間が風邪をひくか、という統計値があったとする。仮に100人に1人が風邪をひく、という結果だったとする。なにもしなくても健康の不注意から風邪をひくことはあるわけで、このことを勘案した上での解析結果、余剰のリスクである、とする。 あなたは15.0度の屋外で半袖のまま1時間過ごすべきだろうか。この国は妙な国で、国をあげて半袖で外で過ごすことを奨励している。薄着は健康の増進に役立ち、ひいては社会を安定させることになる、と考えられているからである。「半袖で社会貢献」などといった標語まであり、街角でそんなノボリをみかけることもある。 本来科学者は、計測することしかできない。あくまでも計測。数字をだす。とはいえ、ある科学者は「100人に1人しか風邪を引かないんだっ
オウム事件とその余波についてはこれまでも書いてきたし、あらためて書くこともないような気がしていたが、このところまた多少気になることがあり、その無意識のひっかかりにぼんやりと思いに沈んでいた。うまく書けることではないし、黙っているほうが賢いのだろうが、この問題のとてもタッチーな部分で書くことを促すものがある。いや、促されるものがあるというべきだろう。あるブロガーの力でもあるが。 ひっかかりは、こういう言い方も誤解を招くだろうが、とりあえず島田裕巳問題としよう。もう古い話になるのかと思うが、宗教学者島田裕巳が当時上九一色村のオウム施設を見てその陰謀を看破できず結果としてオウムは安全だとお墨付きを与えたかのようなできごとがあった。このため彼は社会的なバッシングを受けることになった。私はこのバッシングに与するものではない。また、率直に言って島田裕巳を宗教学者としてはそれほど評価はしていない。が、こ
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