現在、ワシントンD.C.のナショナル・ポートレート・ギャラリー(スミソニアン博物館が管理する肖像画美術館)で、フェリックス・ゴンザレス=トレスの個展「Felix Gonzalez-Torres: Always to Return」が開催されている(2025年7月6日まで)。そこで論争の種となっているのが、《“Untitled” (Portrait of Ross in L.A.)(無題 [L.A.でのロスの肖像])》(1991)だ。実は、この作品を所蔵するシカゴ美術館でも、2022年の展示の際に今回と同じ抗議を受け、展示室に掲示する説明文を変更したという経緯がある。 「クィア抹殺」の批判とフェリックス・ゴンザレス=トレス財団の反論 クィアアートの研究者イグナシオ・ダルナウデは、LGBTQ+カルチャー誌『OUT』が1月24日に公開した寄稿文で、ナショナル・ポートレート・ギャラリーが「クィアを
