川崎市の福田紀彦市長が十日、市議会で明らかにした市内二校の朝鮮学校への補助金の不交付決定。一九八〇年から継続してきた市にとって大きな方針転換となる。市長選で自ら「市民市長」を名乗った福田市長の下で、多彩な市民を尊重する市の「多文化共生」の一角が欠け落ちる。(山本哲正) 臨海部に工場ができ始めた二十世紀初頭以降、国内外から多くの人が移り住んだ歴史を踏まえ「多文化共生」を掲げる川崎市。民族教育を認める立場などから、朝鮮学校への補助を続けてきた。 北朝鮮の核実験やミサイル発射などを背景に予算計上を見送った県に、市は市議会の求めに応じ学校視察後に計八百四十万円の予算の執行を判断するとしていた。しかし、福田市長は視察を行わず、「市は県の補助を補完する立場」として「県が計上を見送ったことを踏まえ交付は行わない」と決断を語った。 質問した自民党市議団の石田康博団長は、市議団の意向に沿う答弁を評価。一方、