大阪市が解散の検討を始める「あいりん銀行」。事務所はあいりん地区の福祉を担う市立更生相談所の1階フロアの一角にある。1日働いて、その日に日当をもらう生活を続ける日雇い労働者に、預金という習慣をつけることで、45年間、この地区の福祉を担ってきた側面もある。年月が流れ、日雇い労働者が激減しているという現状があるものの「解散は難しい」との声も出ている。 「ここしか預けられるところがないねん」。預金者の50代の男性はため息交じりにこう話す。この男性は1日で100円、35円などと4回も出し入れを繰り返した。預金者の多くは100円や10円単位で預け入れを行っており、毎日のように訪れる人もいる。1年以上出し入れがない睡眠口座を除く約6500口座の平均預金額は約12万円。どれもこつこつと積み上げた預金だ。なかには残高が1000万円を超す預金もあるという。 あいりん銀行は、日雇い労働者の手持ち現金を預か