熊本市のショッピングセンターで万引したとして、窃盗罪に問われた無職の女性被告(69)=熊本市=に対し、熊本簡裁は13日までに、無罪(求刑懲役1年)の判決を言い渡した。小林勘一郎裁判官は「(認知症の1つとされる)ピック病による精神障害のため心神喪失状態だった」と認定。万引行為は認めた上で責任能力を否定した。 女性被告は昨年8月17日、ショッピングセンターで弁当など9点(計約2800円相当)を盗んだとして起訴された。 公判中に弁護人が求めた精神鑑定で、脳に萎縮(いしゅく)がみられ「ピック病にかかっている」との鑑定結果が出たが、検察側は「ポリ袋を用意するなど犯行は合理的で、鑑定結果の信用性は高くない」と主張していた。熊本地検の崎坂誠司次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議して対応したい」とした。