「脱成長コミュニズム」を掲げる斎藤幸平さん(経済思想家)の「人新世の『資本論』」が40万部を超えて読まれている。筆者も斎藤さんと直接話す機会を含め、この議論から刺激を受けてきた。 筆者は現時点で「脱成長」を信奉するほどではないが、少なくとも「グリーン成長」に無批判に突き進むのはまずいという理解に至った。 実は「脱成長」の議論は学術的にかなり盛り上がってきているが、日本では、斎藤さんの本を褒める人も貶す人も無視する人も、これをほとんど知らないだろう。 最近、日本環境共生学会の学会誌に何か書かねばならなくなったので、この機会に、「脱成長」について、わりと真面目に論文を読んで、理解したことをまとめてみた。元記事も無料で公開されているが、少しでも多くの人の目に触れるように、ここに転載させて頂く(長文ご注意)。 1.はじめに―主流化するグリーン成長脱炭素社会を目指す新しい経済戦略が世界的に主流化して