安倍晋三首相が6月12日から、日本の首相としては41年ぶりにイランを訪問、同国のハッサン・ロウハニ大統領やアヤトラ・アリ・ハメネイ最高指導者と会談した。米国・イラン間の緊張が高まるなか、日本が何らかの仲介や緊張緩和のための努力をするのではないかと、世界の注目を集めていたが、成果が出るまえに、オマーン湾で日本のタンカーを含む2隻の船舶が攻撃される事件が発生。注目は一気にそちらのほうに移ってしまった。 筆者はペルシャ湾岸情勢をフォローしているが、専門はイランではなく、アラビア半島側のほうだ。したがって、アラブ側の視点を踏まえながら、今回の一連の事件を少しちがった角度から眺めてみよう。 サウジの“影のキーマン”と意思疎通 安倍首相はイランへ出発する前、イランと対立するサウジアラビアの実力者、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MbS)に電話をした。ここで安倍首相は、イラン訪問について説明したとされ