検事による供述調書の作成を巡り、元検察最高幹部の一人が99年、北島敬介検事総長(故人)あてに「一部の調書は『検事の作文』といわれても仕方がない」と懸念する私信を送っていたことが分かった。これを受け最高検は翌年、調書作成の適正化を全国に通知したが、郵便不正事件では調書の任意性が否定され、厚生労働省元局長の無罪が確定。同事件と一連の証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件で最高検は近く検証結果を公表するが、10年前の警鐘は生かされなかった。 私信を書いたのは、東京地検検事正などを経て、総長、東京高検検事長に次ぐ検察ナンバー3ポストの大阪高検検事長を最後に退官し、当時は中央更生保護審査会委員長だった増井清彦氏(77)。 前年の98年、水戸地検は水戸市の建設設備工事会社と同社社長を脱税で摘発し起訴したが、公判で弁護側から「取り調べ検事が異なるのに、参考人や被告の供述調書に全く同じ文章が多数あり、あらか