編集部 太田匡彦 ◆犬が殺されている 最寄り駅からでも車で15分はかかる、墓地に隣接した土地に、その施設はあった。 中に入ると底冷えがするコンクリートの床。五つに区切られた部屋に、それぞれ十数匹の犬がいた。飼い主に捨てられたり、迷子になったりした犬が収容され、殺処分される施設。部屋の壁は可動式になっている。一番手前の部屋は前日に収容された犬。その一つ奥が前々日に収容された犬。一営業日ごとに壁が動き、犬たちは徐々に奥へと追いやられていく。追い込まれた先に、もう部屋はない。 ◆業者が持ちこむ殺処分 環境省によると2006年度、全国の地方自治体に収容された犬は14万2110匹。うち11万2690匹が、新たな飼い主が見つからず、殺処分された。なぜこれほど多くの犬たちが捨てられ、殺されなければいけないのか。 本誌では、実態をつかむため、飼い主が行政機関に犬を捨てる際に提出する「犬の引取申請書」の情報