今30代のゲイである僕にとって、自分自身と同じく同性を愛する男性が幸せそうにしている場面を見たのは、BL漫画を読んだ時が初めてだった。それは僕がまだ高校生だった2003年頃のことで、その時に読んだ作品名は今でもはっきりと覚えている。 “Boys Life(こうじま奈月作)”というタイトルを持つその漫画は二人の少年の恋模様を描いたもので、今思えばBLの王道的ストーリーといった作品だった。ただ当時の僕にとって、それはかなり衝撃的なものに映った。だって何の悲愴感も何のどんでん返しもないまま、ただ男性同士が幸せそうに恋をしている場面なんて、それまでの人生でただの一度も見たことがなかったから。