◆障害の背景に目を向けて◆ ──野澤さんは最初から耳が聞こえなかったわけではないそうですが? 野澤 小学校1年生の7歳の時から、全く耳が聞こえなくなりました。自分の声も全く聞くことができません。聾学校に通い、高等部を卒業しました。そのころは手話通訳もいなくて、「つんぼ」とか「おし」と言われているような時代でした。聾学校では正規の勉強というものは少なくて、職業訓練が中心になっていました。卒業する時の学力は、普通の小学生の5年生くらいだったと思います。英語も全然できませんでした。 ──聴覚障害者は言語力や学力が低いとうかがっていますが、そうした実態にはどのような背景があるのでしょうか? 野澤 僕の場合は7歳から聞こえなくなりましたので、言葉を持っていたんですね。でも生まれつき聞こえないと、言葉の力というものがないんですね。教育環境や家庭環境が悪いと、聾学校に入っても教育条件が悪いですからなかな