森達也監督がゴーストライター騒動で一世を風靡した佐村河内守氏とその妻・香さんに迫ったドキュメンタリー映画『FAKE』が公開中だ。マスコミではゴーストライターを務めていた新垣隆氏寄りの言い分ばかりが流れていたなか、佐村河内サイドから見えている世界を切り取った作品である。 僕も観たが、めちゃくちゃおもしろかった。 おもしろかったポイントはいくつもあるが、いちばんは、佐村河内のウソや、彼がつくった「全ろうの作曲家・佐村河内守」の設定が“まだら”だったところである。 “まだら”とはどういうことか。 彼は、一連の騒動が起こる前は大量の設定を用意し、そう見えるようにふるまっていた。たとえば ・耳がまったく聞こえないが、絶対音感で頭の中に五線譜を描いて作曲している ・耳が聞こえなくなった原因は広島生まれの被曝2世であること(原爆の後遺症)が関係している ・24時間365日耳鳴りに悩まされており、精神疾患