選択的夫婦別姓を導入する民法改正案は、今国会への提出が絶望的となった。千葉景子法相が強い意欲を示して閣内に協力を求めていたが、金融・郵政担当相だった亀井静香氏の反発で閣議決定に至らず、首相交代という政局のあおりも受けた。政権交代で期待を持ち続けてきた当事者に失望が広がる一方、慎重な立場の識者からは「法案提出見送りは当然」との指摘もある。【山崎友記子、石川淳一】 「民法改正見送りは残念の一言。いつまで待ったらいいんでしょう」。東京都青梅市の浅香ひろみさん(49)は、結婚前からフリーで本の装丁などの仕事をしており、結婚後も同じ姓で仕事を続けたいと19年間、通称を使ってきた。仕事に加え、町内会役員や図書館ボランティア、娘が通う学校のPTA役員などでも夫や娘とは違う姓を名乗り、周囲の理解を得ていた。 しかし、市の図書館嘱託職員への応募では違った。申込時に「地元で認識されている旧姓を使わせてほしい」