世界各地のオサムシのDNA系統樹を作成し、従来の形態分類からの知見と照らし合わせることで、進化過程の多くの新しい面が見えてきた。まず、オサムシは4,000〜5,000万年前に一斉に主要属が大きな形態変化を伴って放散し、さらに、異所的平行進化を含むく中、小規模の放散が起きたことから、形態の大進化はダーウィン式の連続的なものでなく不連続であり、さらに同所的にも似た形態を示す平行進化がしばしば起きるようなダイナミックな過程であることが示唆された。日本の幾つかのオサムシにおける近似種の分化(小進化)においては、高頻度で雑種崩壊を伴うことなく交雑がおきて安定した雑種由来集団が形成され、時にはこれらから新種が分化している。この一連の研究はオサムシの進化の要因は一様ではなく、複合的に進行したことを意味する。 新しい博物学-オサムシの分子系統の研究 動物や植物を集め、名前を付け、類縁関係や生態を