村上春樹新刊。村上が二十五年つづけてきたマラソンについてのエッセイ。とてもたのしく読むことができた。村上がひろく支持される理由のひとつに、彼の一貫してストイックな資質があげられるとわたしはおもいますが、この本を読むと、そうした彼ほんらいの性格がよくわかってとても興味ぶかかったです。わたし自身も、水泳をはじめて二年半たち、それで生活がかなり変わってきているので、この本で書かれていることにはかなり共感できたし、納得できることもたくさんあった。 村上ほどストイックではないですが、ひとの基本的な性格をおおまかに分類すれば、村上とわたしはおそらく、同じあたりにポジショニングされるとおもう。禁欲的な作業のくりかえしに快楽を見いだすし、いったんなにかをはじめると、わりにしつこいところもある。いずれにせよ他人にはなかなか理解されにくい。どうして走るんだ、わざわざ苦しいことを進んでやって、なにがおもしろいん