本日、東京拘置所において、1名の死刑が執行された。石破内閣が発足し、鈴木馨祐法務大臣が就任した後、初めての執行である。しかも、2年11か月間執行が行われない状況であった中での執行である。 死刑は、基本的人権の核をなす生命権を国が剥奪する刑罰であり、近代人権思想の中で残された、もっとも苛烈な刑罰である。刑罰制度は、犯罪への応報にとどまらず、罪を犯した者の更生により社会全体の安寧に資するものであるべきであり、本年6月に懲役刑と禁錮刑が一本化されて新自由刑(拘禁刑)に再編する改正刑法が施行されたのも、そのような「応報を主眼とする刑罰制度」から「更生と教育を主眼とする刑罰制度」への移行を意味する。しかしながら、死刑は、日本の刑法典の下で、罪を犯した者の更生を指向しない唯一の刑罰であり、拘禁刑の理念と相容れない異質なものである。 国際的にも、多くの国が既に死刑制度を廃止しており(過去10年以上死刑を
