『研究者に必要なもの。…誰か教えてくれ。』今日はちょっと切ないお話。 あるだろうと思いながら、やっぱりあった悲しいお話。 * * * 僕の研究所には、尊敬する先輩がいた。 もの凄い格好いい先輩。 そりゃ、お世辞にもイケメンとは言えない。 頭も禿げてる。 お腹はちょっと出てる。 背も低い。 俗に言う、チビデブハゲのカテゴリーに入ってしまうかも知れない。 けど、ものすごい目がキラキラしていて。 その穏和な性格と素敵な笑顔で男も女も夢中にさせてしまう、そんな先輩だった。 僕の所属してるサークルはその先輩が作り、その先輩を中心に何十人も集まった、そんなサークルだった。 教官も事務も、誰も彼もが一目置く、そんな凄い人。 先輩には恋人がいた。 背の高く、髪の長い美人。 研究所一の美人だ。 何も知らない人が見たら美女と野獣なんて言ったかも知れない。 けど、先輩の周りに彼らをアンバランスだなんて言う奴は